2025年10月11日

ツクツクボウシは秋の季語

夏の盛りには数種のセミが賑やかに鳴いていましたが、夏が終わり、他のセミの鳴き声が聞こえなくなっても、まだ聞こえてくるのがツクツクボウシの声です。

ツクツクボウシとは?

ツクツクボウシ
ツクツクボウシ

ツクツクボウシ Meimuna opalifera は、セミ科ツクツクボウシ属のセミです。体長は3cm、頭から羽の先までは4.5cmほどで、クマゼミやアブラゼミよりは小さくニイニイゼミよりは大きいです。オスはメスより腹部が細長く、メスは長い産卵管がおしりから伸びます。ヒグラシも同様の体型ですが、その他のセミに比べると細長い体型をしたセミです。東アジアである朝鮮半島、中国、台湾、日本に分布します。国内では、北海道からトカラ列島の平地から山地の森林に生息します。市街地でも声を聞くことがあります。人目に触れることが多いアブラゼミやクマゼミに比べ高いところにとまる傾向にあり、さらに警戒心が強いため、声をよく聞くわりにはあまり姿を見ないセミです。ヒノキ、カキ、アカメガシワ、シダレヤナギなど様々な樹種にとまります。

秋のセミ、ツクツクボウシ

ツクツクボウシは7月頃から成虫が出てきますが、最もよく鳴き声を聞くのは他のセミの声を聞くことが少なくなる8月下旬から9月上旬です。近畿地方でも9月下旬にツクツクボウシの声だけが森林内に響いていました。九州地方では10月の初旬にもまだ鳴き声が聞こえます。他のセミに比べて鳴きはじめが数週間ほど遅く、晩秋まで鳴くため、ヒグラシとともに寒蝉と呼ばれ、秋の季語になっています。

ヒグラシ

秋を連想させるセミとしては、鳴き声の物悲しい雰囲気からヒグラシをあげる人が多いかもしれません。確かにヒグラシは秋ごろまで鳴くセミではありますが、鳴きはじめはむしろ他の多くのセミよりも早い6月下旬から7月初旬であり、最盛期が他のセミに比べて遅いというわけではありません。ただ、盛夏には薄明薄暮に鳴いていたヒグラシが、涼しくなってくると日中にも鳴くようになります。このことが、ヒグラシが秋の蝉という印象を与える理由と思われます。