2025年10月21日

身近にいるけど知名度低め、アカメガシワ

コンクリートの割れ目から、力強く葉っぱを広げる雑草はよく見かけますが、樹木の中にも、なかなかたくましいものがいます。アカメガシワは、そんな樹木の代表と言っても良いかもしれません。

アカメガシワとは?

アカメガシワ Mallotus japonicus はトウダイグサ科アカメガシワ属の落葉樹です。樹高は、5から10mほどになります。名前にカシワとついていますが、カシワはブナ科コナラ属の植物であり、アカメガシワはカシワと近縁ではありません。新芽が赤く、葉がカシワのように大きくなることが和名の由来であるという説があります。国外では朝鮮半島、台湾、中国に分布し、国内では青森県を除く本州以南に分布します。温帯から亜熱帯の気候を好みます。とにかく、日が当たる環境に生育し、森林内では崩落地などに真っ先に姿を現す植物です。川の土手や林縁、ヤブなどでもよく見られます。また、日が当たりさえすれば、人為的撹乱を非常に強く受けた環境にも耐えることができ、アスファルトの駐車場や、道路脇などでも見られます。人の背丈を優に超えるものをみかけることもよくあります。

アカメガシワの花と種

アカメガシワは、雌雄異株です。つまり、メスの花を咲かせる株とオスの花を咲かせる株が分かれています。雌花、雄花ともに花弁はありません。

アカメガシワの雌花
アカメガシワの雌花:この個体は赤色の柱頭がよく目立つが、柱頭が白い個体も多くある。

オスの株では、球状に雄しべが出たものがいくつもつきます。

花は5月から7月に咲き、果実は9月から10月頃に熟します。

アカメガシワ
アカメガシワの種子

種子は鳥によって散布されます。種子は土の中で長時間休眠することができ、撹乱が生じてよく日が当たる環境になるのを土の中で待ちます。アカメガシワの種子は、35℃程度の温度にさらされると発芽が促進されることが報告されています。伐採や倒木などで直上の植生がなくなると、日光によって地面が暖められます。アカメガシワはそれを感知することで、日当たりの良い環境になったと判断しているようです。また、アカメガシの種子は高温に耐える能力も高く、山火事でも種子は生き残り、地面からいち早く芽を出すことも知られています。