リスとは関係ないフクロシマリス
以前、花や葉っぱを主に食べる草食性の強いポッサムについてのお話をしましたが、今回は主に昆虫を食べる肉食性の強いポッサムについてのお話です。
フクロシマリスとは?

フクロシマリス Dactylopsila trivirgata は、哺乳綱双前歯目フクロモモンガ科フクロシマリス属の動物です。シマリスという和名がつけられていますが、齧歯目のシマリスとは全く近縁ではありません。体サイズも、体長25cm、体重400gほどあり、体重が約100gのシマリスより随分大きいです。樹上性であることと背中に縞模様があることはシマリスと共通します。英語ではStriped possum(縞の入ったポッサム)と呼ばれ、その英名の通りポッサムの一種です。
アイアイのような採食方法

フクロシマリスは、食べ物もリスとは異なります。彼らは主に幹に潜む昆虫を探して食べます。前足で幹を叩き、その音によって餌である幼虫の場所を把握します。前足の4本目の指が他の指と比べて長く、その指を使って幹の中に潜む幼虫を引きずり出して食べます。指が届かない場合は、歯で幹の表面をかじり取ることもあります。このような習性から「哺乳動物のキツツキ」とも呼ばれます。この採餌方法は、類人猿のアイアイと非常に近いように思われます。フクロシマリスは主に昆虫を食べますが、その他にも、果実、花蜜などを補助的に食べることも知られています。
フクロシマリスの観察

夜の10時頃、ケアンズにある植物園の森林内を歩いていると、頭の上でガサガサと音がしました。フクロシマリスが別の木から直径40cmほどの木に枝を伝って移っているところでした。ライトを当てると、私達が見ていることに気づいたらしく動きを止めましたが、しばらくじっと観察していると活動を再開しました。地上から5mほどのところで、四肢を広げて幹に逆さまに張り付いた状態で、幹をかじっているのが15分ほど観察できました。

おそらく幹で餌となる昆虫を探していたと考えられます。大きな幹に逆さまにくっつくのは、一見大変そうですが、この姿勢は他でもよく観察されています。前足は幹を叩いたりほじくったりするのに使うので、後ろ足の指を幹に引っ掛けて、ぶら下がるような体勢で昆虫を探すのが、彼らにとっては楽なのかもしれません。



