2025年12月7日

洞窟ぐらし

前回は、オーストラリアの洞窟内部で見つけた生き物を紹介しました。今回は、それらの生物の特徴や、洞窟内で一体何を食べて生きているのかについて考察したいと思います。

洞窟内で見つかった生物の特徴

あまり逃げない

地上では、虫は、鳥や両生類、は虫類、哺乳動物など素早く動く生物に狙われることが多いです。ところが洞窟内はコウモリを除くとそういった生き物があまり入ってこない空間であるためか、人間に見つかっても俊敏に逃げるものが少ない印象でした。

色が薄い

太陽光の下で生活する生物は、メラニン色素を蓄積することにより、紫外線から身を守ることが多いです。一方、洞穴動物はその必要がないため一般に白っぽくなる傾向があるようです。また、洞穴動物は、天敵が視覚をもとに獲物を探すことも少ないため、隠蔽色をもつ必要もありません。こういった理由により、わざわざ色素で体に色を付ける必要が無く、全体的に白っぽい生物が多いと考えられています。

これらの生物はどうやって生きているのか

ライトを消すと昼間でも全く何も見えないような洞窟の奥の暗闇でも、10分ほどで何種類もの生き物が見つかりました。全く光が射さないため、植物は一切ありません。一見乾燥した砂だけの世界で、食べ物などあるようには思えません。

見つかった動物の中で、少なくともコウモリは外の世界で食べ物を確保し、休息のために洞窟内を利用します。そして、洞窟内で糞をします。

おそらく、洞窟に暮らすバッタや甲虫の仲間は、そのコウモリの糞を餌にすることができます。また、そのバッタや甲虫を捕食することにより、クモが生息できると考えられます。このように、一次生産者である植物が不在の環境でも、外部から餌資源が持ち込まれることにより、洞窟内の生態系が維持されます。

ちなみにこの洞窟では、ほとんどの場所が乾燥した砂地でしたが、水が滴る場所があり、水分の確保は洞窟内でできるようです。