春らんまん 土佐の植物博士クエスト体験記

2023年4月18日 イベント情報生物

こんにちは。Biomeスタッフです。

待ちに待った春が来て、いよいよいきもの探しのベストシーズンがやってきましたね。

 

ところでみなさん、連続テレビ小説『らんまん』は見ていますか?

本作は、高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルとしたオリジナルストーリーとなっており、

混乱の時代の渦中で、愛する植物のために一途に情熱的に突き進んだ主人公・槙野万太郎と その妻・寿恵子の波乱万丈な生涯を描きます。

 

作中には「バイカオウレン」や「キンセイラン」など様々な植物が登場し、「来週はどんな植物が出てくるんだろう」というバイオーマーならではの楽しみ方もできる作品となっています。

『らんまん』の詳細はこちらから

 

土佐の植物博士クエスト配信中!

Biomeでは今、高知県で開催されている観光博覧会「牧野博士の新休日〜らんまんの舞台・高知〜」をもっと楽しむことができるクエストを配信しています。

高知県内でクエスト対象になっている科に属する植物を5種類投稿すればクエスト達成です。対象種の総数はなんと5,400種以上!

クエストの詳細はこちらから

 

スタッフもクエストに挑戦!

Biomeスタッフも『らんまん』に触発され、実際に高知県に訪問し、牧野博士ゆかりの地を周りながらクエストを楽しんできました!

このブログではその様子をレポートさせていただきます。

 

いざ参らん!土佐の地へ

高知県へは大阪国際空港(伊丹空港)から飛行機で向かいました。

1時間ほど飛行機に乗り、気が付けば「らんまんの舞台」高知に到着。

 

高知龍馬空港へ降り立ち、いざクエスト開始!

空港到着口を過ぎると早速博覧会のパネルが

牧野植物園

まず最初は高知市にある「高知県立牧野植物園」へ。

ここは牧野博士の業績を顕彰するため1958年に開園した、四国唯一の植物園です。

起伏を活かした約8ヘクタールの園地には、博士ゆかりの野生植物など3,000種類以上が四季を彩り、自然の中で植物に出会う喜びを感じることができます。

植物園正門 この日はあいにくの雨…

土佐の植物生態園

正門を抜けると「土佐の植物生態園」が広がります。

ここは高知県の豊かな植物相を再現しており、山地や海岸など多様な環境に生育する植物を自然さながらに観察できます

土佐の植物生態園

 

おや、この花は…!

 

セントウソウだー!

 

セントウソウ

[分類]セリ科

[見頃]3~5月

山野の林内や林縁などに見られ、早春真っ先に小さく真っ白な花を咲かせます。

セントウソウの名前の由来ははっきりしておらず、牧野博士も和名の語源は不明としています。

 

このエリアだけでもクエスト達成可能なレベルで植物がわんさか見られます。

このままどんどんクエストを進めたい気持ちを一旦抑えつつ、奥へ進みます!

牧野富太郎記念館 本館・展示館

奥に進むと「牧野富太郎記念館本館」に到着します。

牧野富太郎記念館本館 入口

 

入館料の支払をすますと、笑顔の牧野博士がお出迎えしてくれます。

館内はモダンな作りをしています

 

回廊を歩き、展示館へ。

館内には随所に牧野博士にゆかりのある植物の展示されています。

歩きながらもついついBiomeを起動してしまう…(歩きスマホはやめましょう!)

ヤハズマンネングサ

[分類]ベンケイソウ科

[見頃]3~5月

3~5月に1㎝ほどの黄色い花を咲かせます。

世界中で高知県と徳島県の石灰岩地にのみ分布する植物で、絶滅危惧Ⅱ類(環境省)に指定されています。

牧野博士が高知県で採集した標本をもとに、1901年 に学名を記載しました。

ヤマトグサ

[分類]アカネ科

[見頃]4~5月

牧野博士が27歳の時に学名を付けた植物です。

日本人が日本で初めて、国内の植物に学名を付けて世界に認められた、記念すべき植物です。

 

長い回廊を歩くけば、展示館に到着。

ここでは、牧野博士の生涯とその業績を、植物図著書観察会の記録写真などで紹介しています。

内部は土佐漆喰や高知県産の木材、また県内で活躍している家具・工芸作家の作品をあしらい、落ち着いた雰囲気となっています。

牧野博士の部屋を再現した展示もありました

南園

展示館を満喫した後は「南園」に行きましょう。

もともと寺の境内だった南園は、古い石垣や参道と調和するように造園されている庭園です。

起伏に富んだ地形を利用し、牧野富太郎博士の業績を顕彰するにふさわしい多種多様な植物を、生態的な特性を損なわないように植栽しています。

南園(Photo by 663highland, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons)

 

ここには、牧野植物園が収集している野生のツツジが見られる結網山(けつもうざん)や混々山(こんこんやま)、土佐寒蘭センター、伝統園芸植物を展示する観賞棚など、見どころがたくさんあります。

バイオーマーなら思わずテンションが上がってしまう、いい感じの湿地がたくさんあります

 

オキナグサ

[分類]キンポウゲ科

[見頃]4~5月

本州、四国、九州の日当たりのよい草原や林縁に生育します。

短い毛で覆われた赤紫色の花を下向きに咲かせます。

花後にできるタネに白く長い毛があり、そのタネが密集して風にそよぐ姿を老人の白髪に見立てて「オキナグサ(翁草)」と呼ばれているといわれます。

 

キエビネ

[分類]ラン科

[見頃]4月

西日本の山に生育します。まぶしい黄色の花をつけ、春の山を明るく彩ります。

かつては山中に多く見られましたが、盗掘などにより数が激減しています。

 

広大な庭園には、時間がいくらあっても見きれないほどの植物が盛りだくさん。

この日はあいにくの天気でしたが、そんなことも忘れてしまうほど歩き回ってしまいました。

南園には手にカラカサタケを持った牧野博士のブロンズ像があります

 

南門すぐ近くには、熱帯の雰囲気を楽しめる「温室」があります。

熱帯さながらの室内では、国内外から集めた貴重な植物や色鮮やかな熱帯花木、熱帯果樹など一年を通して楽しむことができます。

まるでジャングルを思わせる熱帯植物がわんさか!

 

ヒスイカズラ

[分類]マメ科

[見頃]3~5月(当植物園の温室)

フィリピンの固有種で、熱帯雨林の渓谷に自生しています。

垂れ下がった花序に翡翠のような青緑色の花を多数つけます。

自生地ではオオコウモリによって花粉が運ばれているといわれています。

 

展示の中に、思わずはっとさせられたパネルありました

 

今日では、図鑑を調べると当たり前のように植物の名前を知ることができます。

しかし、ほんの150年前ほど前には、私たちは日本に生えている植物の名前を知ることはできませんでした。

日本の植物分類学の黎明期、自国に生育する植物の全貌を明らかにする大志を抱き、その第一歩を踏み出した人こそ牧野富太郎です。

 

わたしたちがBiomeを使っていきものの名前を知ることができるのは、そのいきものに名前を付けてくれた先人の研究者たちのおかげです。

小さな命の一つ一つに「名付け親」がおり、私たちは彼らの熱意や想いに「いきものの名前を知る」ことで触れることができます。

牧野博士をはじめとする、先人の分類学者に改めて敬意を表しながら、この日は牧野植物園を後にしました。

佐川町

次の日は牧野博士の生まれ故郷「佐川町」へ行ってきました。

天候にも恵まれ絶好のBiome日和!

町のいたるところに牧野博士。さすが生まれ故郷!

 

佐川町(上町地区)は江戸時代領主である深尾家(土佐筆頭家老)の城下町で、主に商人が住む町でした。

その佇まいは、現在にも受け継がれ、伝統的な商家住宅や酒蔵などが街並みを形成しています。

情緒あふれる古い民家が多く並びます

 

情緒ある街並みを歩くと、これまた歴史を感じる神社が。

金峰神社

ここ「金峰神社」は牧野富太郎博士が幼少の頃よく遊びに来ていた場所です。

この神社の境内でバイカオウレンなのど植物を採取し、植物への興味を広げた逸話は有名で、博士のその後の人生を決定づけた重要な場所と言われています。。

牧野公園

金峰神社を通り過ぎ、坂を上っていくと、「牧野公園」に到着します。

ここは牧野博士から贈られたソメイヨシノの苗が植えられたことに由来する、博士ゆかりの公園です。

四季折々の山野草が楽しめ、花見時期には「日本の桜百選」にも選ばれた圧巻の桜景色を一望できます。

牧野公園 入口

 

小高い山の中腹には牧野博士のお墓があります。

この度のコラボクエストに感謝の意を込めてご挨拶させていただきたく、花々を楽しみながら中腹を目指します。

頂上へ続く道を登り中腹を目指します

 

私が訪ねた時期は、残念ながら桜の花はほとんど散っていましたが、ツツジが見頃を迎えていました。

牧野博士が命名した「オンツツジ」が鮮やかな赤色で山の斜面を彩っています。

オンツツジは“土佐の三つ葉”とも呼ばれ高知の人々から愛されています

 

花を楽しみながら歩いていると、牧野博士のお墓が見えます。

つくりは素朴ながらも周囲は多くの野草に囲まれ、まるで生前の牧野博士本人を想わせる雰囲気があります。

 

またお墓の少し奥には、博士が愛した植物「バイカオウレン」の群生があります。

バイカオウレンは『らんまん』の第1週のタイトルにも使われていましたね。

バイカオウレンの花(Photo by Qwert1234, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons)

バイカオウレン

[分類]キンポウゲ科

[見頃]2~3月

森林内にある湿った場所に生育し、ウメに似た白い花を咲かせます。

牧野博士がこよなく愛したとされる花で、幼い頃から故郷の佐川町に生えていたバイカオウレンが大好きだったそうです。

 

私が訪ねたときにはもう花期は終わり、実ができていました。

すじ模様の袋果が特徴的です。

実をつけたバイカオウレン

 

このあたり一帯はバイカオウレンの大群落となっています。

白い絨毯を敷き詰めたかのように咲き乱れる様子は、牧野公園の早春の名物となっています。

バイカオウレンの大群落

 

クエスト達成!

お墓参りもすまし、無事目的も果たしたところで、クエストも達成!

やったね!

「高知県限定」という縛りはありますが、クエスト自体の難易度は高くないので、ぜひ挑戦してほしいです!

今回は対象種がとても多いので、私がチャレンジした感覚では、投稿した植物の3種に1種は対象種のような状態でした。

まるで植物の当たりくじのような感覚で楽しむことができました(笑)

 

高知県には上で紹介した他にも植物の観察におすすめの場所がたくさんあります。

下のマップでは、クエスト内で紹介したおすすめスポットをまとめています。

みなさんもぜひ高知に足を運び、クエストにチャレンジでしてください!

 

おまけ

佐川町で発見!バイカオウレンの花が咲いたポスト。

高知の町は歩くだけでもバイオーマーが楽しめる発見がいっぱいです。