ロードキルに対するバイオームの取り組み

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ロードキルに対するバイオームの取り組み

2021-04-28T12:41:53+09:00 2021年4月27日|Categories: ALL 生物 社会|Tags: , , |

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ついに待ちに待ったゴールデンウィーク!皆さんはいかが過ごされる予定でしょうか?
こういうご時世ですが、車を使って移動される機会も多くなると思います。
またお休みでなくても、普段から車を使って移動される方もいらっしゃるでしょう。

こんなとき気を付けなければいけないのが “ロードキル” です。

 

ロードキルの現状

ロードキルとは、自動車で生き物に衝突・轢いてしまったりして生き物を死なせてしまうことを言います。

国土交通省の平成14年の調査では、高速道路における動物のロードキル件数は3,5933件であると報告されており、その件数は道路開発・延長に伴って年々増加しています。被害動物には絶滅が危惧されている希少種も含まれており、一刻も早い対策が必要です。

しかし現状、日本のロードキルに関する対策は十分とは言えません。

原因として、ロードキルのデータがほとんど集まっておらず、長期保存もされていないことが挙げられます。また絶滅が危惧されている希少種のロードキルデータだけでなく、普通種のデータも十分に集まっていない状況です。

 

そのような状況を打破するため、株式会社バイオームは帯広畜産大学と共同研究を行い、バイオームのアプリが、日本におけるロードキル調査システムに適しているかどうかの実証実験を行いました。

 

⇩その結果がこちらの論文になりましたので、簡単に解説してまいります!⇩

Report on a Preliminary Test of Roadkill Observation System in Amami-Oshima Island, Japan

 

実験方法

実験は2019年9月から2020年の2月まで、奄美大島にて実施されました。

地元のレンジャーなどロードキルに関心が高い人約20名を対象にバイオームのアプリを使っていただき、哺乳類・鳥類・は虫類・両生類のロードキルデータを提供していただきました。

 

結果

 

調査期間中、66件のロードキルを同定することができました。哺乳類が2種、鳥類が5種、は虫類が4種、両生類が5種報告され、中にはアミノトゲネズミやアマミノクロウサギ、アマミイシカワガエルをはじめとした多くの奄美大島固有の希少種のロードキルを記録することができました。

種判別の正確さ

アップされた写真のうち、6画像がAIのみによる正確な種同定ができませんでした。理由としては動物の遺体の状態が極めて悪かったことが考えられます。これら6画像の種同定は、経験豊富な地元の参加者さんによって行われました。このように、AIと地元ユーザーの経験や訓練を掛け合わせることにより、より精度の高いデータを保持できることがわかりました。

 

位置情報の正確さ

バイオームのアプリはスマートフォンのGPSから写真の位置情報を獲得します。ロードキル写真の位置データと、そこから実際の路上までの距離の中央値(データ数値を小さいほうから並べたときに真ん中に来るもの)は3.0mでした。またの投稿のうち86%の位置データは実際の路上から20m以内でした。

 

 

結論

以上の結果から、バイオームのアプリはロードキル調査において有用であることが示されました。

しかし本格的なロードキル調査アプリとして広く多くの市民の方に使ってもらうためには、野生動物にあまり親しみのない人にもテストしてもらう必要があります。

今後の課題として、正確な種同定をユーザーができるような働きかけが今後必要になると考えられます。また位置情報の精度もより高めることで、極めて正確なロードキルデータを得ることができると考えます。

 

コロナ禍におけるロードキル

2019年3月ごろから新型コロナウイルスが世界的に流行し、今もなお外出の自粛が余儀なくされています。

国土交通省の報告によると、コロナ以前(2019年)とコロナ中(2020年)を比較すると交通量は大きく減少しており、特にゴールデンウィーク中の日平均交通量は7割減少したとの報告がありました(新型コロナウイルス感染症対策に対応した高速道路施策の検討について)。

一方、人の移動に関しては、密な状況を避けるため公共交通機関の利用が減り、自動車での移動が増加傾向にあるという報告があります(日本自動車会議所, 2020.12)。

 

「交通量自体は減っているが、車での移動は増えている」という複雑な状況において、ロードキルの状況はどうなっているのでしょうか?

 

日本におけるコロナ禍とロードキルの関係を示す論文は2021年4月現在残念ながら見つかりませんでしたが、いくつかの報告や報道を見つけることが出来ました。

沖縄県の西表島に関しては、観光客の激減とこれまでの対策が功を奏し、イリオモテヤマネコのロードキルは22年ぶりにゼロになったという報告がありました(リンク:読売新聞,2021.01)。

一方で、北海道におけるエゾジカのロードキルは年々増加しており、コロナ中(2020年)においても増加を記録しました(リンク:北海道警察,2020)。

また、奄美大島・徳之島におけるアマミノクロウサギのロードキルも変わらず増加し、むしろ過去最高の件数を記録しました(リンク:奄美新聞社,2021.01)。

減った地域もあれば、増えてしまった地域もあるようです。コロナ前のロードキルが観光客に依拠するものだったのかどうかなどによって傾向は異なると思われますが、詳しいことはまだ分かっていません。アプリを用いたロードキル調査によって、正確かつ広く長期的なデータ収集が期待されています。

 

ロードキル調査にご協力ください!

バイオームでは調査対象を全国に広げてロードキル調査を継続中です。日本全国どなたでも参加可能です。

 

⇩参加方法詳細をダウンロード⇩
ロードキル調査2020への参加方法.pdf