モズのふしぎな習性-はやにえ-の話

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モズのふしぎな習性-はやにえ-の話

2022-02-19T11:34:21+09:00 2021年12月28日|Categories: 生物|Tags: , , , |

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モズのふしぎな習性-はやにえ-

モズはバッタやカエルなどの小動物を好む肉食性の小鳥です。彼らは一風変わった習性をもっています。捕まえた獲物を木々の枝先や有刺鉄線などに突き刺して、長期間そのまま放置することがあるのです。

串刺しになった獲物のことを「はやにえ」といいます。モズがはやにえを作る理由はよく分かっていませんでした。しかし、近年の学術研究によって、その謎が少しずつ解明されつつあります。

今回は、はやにえ研究の最前線をみなさんにご紹介したいと思います。

モズの作ったカメムシ類のはやにえ(photo by ぽこりたけ)モズの作ったトカゲ類のはやにえ(photo by かずはるくん)モズの作ったカエル類のはやにえ(photo by 直帰)

モズの作ったカメムシ類(photo by ぽこりたけ)、トカゲ類(photo by かずはるくん)、カエル類(photo by 直帰)のはやにえ

モズとは?

モズは田んぼや畑の広がる里山などでよく見られる小鳥です。全長は20cmほど。体と同じくらい長い尾羽と、鋭いかぎ状のくちばしが特徴的です。オスは目の周りに黒い帯状の羽があり、メスは淡い茶色をしています。

モズのオス モズの雌

モズのオス(photo by チュウタロウ)とメス(photo by うあ🐣)

モズの一年間とはやにえを作る時期

モズは西日本だと夏から秋(8~9月)に渡ってきて、各自なわばりを作り始めます。そのなわばりで冬を越したのち、早春(2月ごろ)から繁殖をスタートします。

はやにえを作る時期はおもに10~12月です。気温もまだまだ暖かく、餌となる生物をたくさん捕えやすい時期です。毎月約40個のはやにえをせっせと作り、計120個ものはやにえを貯えることが知られています。

はやにえの役割その1:冬の保存食

はやにえを作ろうとするモズのオス(photo by さたに)

モズがはやにえを作る理由として、根強い人気があるのが「冬の保存食説」です。はやにえは餌の少ない冬に備えた食料であるという主張です。

貯えたはやにえを「いつ食べるか」を詳細に調べた研究によると、気温が低くなるほどはやにえを食べる量が増えることや、はやにえを食べる量が一年でもっとも寒い時期(おおむね1月)に一気に増えることが判明しています。

このことから、モズは餌の少ない冬に備えて、はやにえを貯えていたのだと考えられています。

はやにえの役割その2:恋を成就させるための栄養食

モズのオスのはやにえには、冬の保存食以外の役割もあることが明らかになっています。

モズのオスは繁殖期になると、歌をつかってメスへプロポーズします。なんともロマンチックですね。栄養状態が良く元気なオスほど、魅力的に歌うことができるそうなのですが、なんとモズのオスははやにえをパクパク食べることで、栄養状態をブーストして、歌の魅力を一気に引き上げることができるというのです!

このことは実験でも確かめられていて、Aグループ:はやにえを人為的に取り除いたオスや、Bグループ:はやにえの3倍量相当の餌を与えたオスを用意して、その後の歌の上手さやプロポーズの成功率をモニタリングしたのです。すると、Aグループは歌が下手になり、プロポーズがのきなみ失敗したのに対して、Bグループは歌が抜群にうまくなり、メスにモテモテになったとのこと。

つまり、はやにえは恋を成就させるための栄養食 でもあるということなんですね。

野外ではやにえを見つけとしても、持ち帰らないようにしましょう。モズにとって、はやにえは冬を生きのびるためにも、異性を獲得するためにも重要な食料ですので。

 

監修 上田 恵介, 編集 日本野鳥の会.  (2021). 日本野鳥の会のとっておきの野鳥の授業. 山と渓谷社.

Nishida, Y., & Takagi, M. (2018). Song performance is a condition‐dependent dynamic trait honestly indicating the quality of paternal care in the bull‐headed shrike. Journal of Avian Biology49(10), e01794.

Nishida, Y., & Takagi, M. (2019). Male bull-headed shrikes use food caches to improve their condition-dependent song performance and pairing success. Animal Behaviour152, 29-37.