エアープランツとも呼ばれるチランジアという植物、街角の園芸屋さんや雑貨屋さんなのでも売られており、見たことがある人も多いのではないでしょうか。このチランジア、根っこなしでも生きれられる、ちょっと変わり者の植物です。
チランジアとは?
チランジアとは、狭義にはパイナップル科のチランジア属 Tillandsia に属する植物を指します。広義には、チランジア亜科 Tillandsioideae に属する植物のうち、着生性の種もチランジア属と同様の見た目であるため、チランジアと呼ばれることがあります。アメリカ合衆国南部から南アメリカの森林や山地、砂漠に見られます。
根の役割もするチランジアの葉
チランジアの葉、よく見てみると細かい突起がたくさんあり、種によっては銀色に美しく輝きます。
実は、この突起がチランジアが野生下で生き残るのに重要な役割を果たします。植物の葉や茎、花にある微細な毛のような突起のことを一般にトライコームと呼びますが、チランジアはそのトライコームがかなり発達した植物です。植物によってトライコームの役割は様々です。バジルやミントなどのハーブは、匂いをトライコームに貯めることによって虫に食べられにくくしていると考えられています。また強い光から葉を守ったり、気孔から水分が抜けるのを防ぐ役割もあると考えられています。チランジアのトライコームは、水分を吸収したり、空気中を漂っている塵から養分を吸収することができると考えられています。つまり、葉が一般的な植物の根の役割も果たしているのです。
チランジアの根の役割
チランジアは、根が無くても生きていけますが、多くの種は根を有します。この根は、他の木や物に取り付くためだけに使われ、他の植物のように水分や養分を吸収する役割を担っていないと考えられています。
乾燥に耐えるチランジア
一般的な植物は、常に根が土中にあり、通常は必要に応じて水を吸い上げることができます。しかし、チランジアは根を土壌に張っていないので、水分を吸収できるのは雨や雲霧などで葉が濡れたときだけです。そのため、非常に乾燥に強い仕組みを持っている必要があります。一般的な植物の葉が薄く平べったいのに対して、チランジアの葉は肉厚です。この形状は、葉の表面積を減らし、水分が葉から逃げるのを減らすことに役立ちます。また、チランジアはCAM植物であり、昼間には気孔を閉じておき、夜間に気孔を開いて光合成のための二酸化炭素を取り込みます。昼間の暑い時間に気孔を閉じておくことにより、気孔から蒸発する水分を減らすことができます。これらの機能を持つことにより、チランジアの仲間の中には、砂漠でも生き延びることができる種もいます。