Japanではそんなに有名じゃないJapanese beetle
マメコガネは、日本ではそれほど有名な昆虫ではありませんが、Japanese beetle(日本の甲虫)という英名がつけられています。今回は、海外では困りものとして知られている日本の在来種マメコガネのお話です。
この記事の目次
マメコガネとは?
マメコガネ Popillia japonicaは、コウチュウ目コガネムシ科マメコガネ属の甲虫です。体長は9〜13mmほどで、日本全土に分布します。平地から山地の草地や林縁、農耕地など様々な環境で見られます。20世紀初頭に北米に移入分布し、近年ヨーロッパにも広がっています。
マメコガネの生態
成虫は7月から8月頃、地域によっては10月頃まで出現します。昼間に活動し、マメ科植物、サクラ、ブドウなど様々な植物の葉を食べます。バラやフジなどの花を食べることもあります。成虫の寿命は、気温によって大きく変動し、高温になるほど短い傾向があります。オスは9日〜74日、平均39日、メスは17日〜105日、平均52日生きます。多くの地域で1年1世代ですが、寒冷な地域では2年で1世代のサイクルです。
メスは性フェロモンを出してオスを誘引するため、餌となる植物上で散在するのではなく、集まって見られることが多いです。交尾は数時間行うこともあります。交尾しているのかと思いきや、オスがメスの上に数時間乗っかっているだけのときもあります。オスは交尾中採餌しませんが、メスは交尾中でも採餌し続けます。また、オス、メスともに何度も交尾を行います。メスは、地表から5〜10cmほどの深さの土中に産卵します。幼虫は芝や牧草などの根を好むため、メスは成虫が食べる植物の付近ではなく、草地に卵を生みます。そのため、草地に近い場所ほど成虫による果樹や他の植物への被害も大きいことが指摘されています。
海外で広がるマメコガネ
アメリカでは幼虫がアヤメの球根とともに侵入していたと考えられており、正式に記録されたのは1916年です。現在では、アメリカ東部に広く分布しています。1939年にはカナダで、2014年にはヨーロッパで初めてイタリアで、2017年にはスイスでも確認されました。日本では農業害虫として取り上げられることが少ない一方で、アメリカではダイズやトウモロコシの害虫として大きな問題になっています。アメリカでの大発生の要因として、そもそも本種が広食性であり移入先でも餌資源に困らないこと、アメリカでは天敵が日本に比べて少ないこと、また幼虫が成長するのに適した芝生やゴルフ場、牧草地が日本よりもたくさんあることなどが挙げられます。
【参考文献】
Fleming WE (1972) Biology of the Japanese Beetle. Technical Bulletin, 1449.