コブのないラクダの仲間
アルパカは、そのもこもこした可愛らしい見た目のおかげか日本でもよくイラストなどに使われ、知名度の高い動物です。しかし、名前だけは聞いたことがあるようなないような、よく似た動物が他にも数種います。ビクーニャ、ラマ、グアナコ、どうでしょう、なんとなく聞いたことはある種もあるのではないでしょうか。一体どう違うのでしょう。
アルパカ、ビクーニャ、ラマ、グアナコの分類
アルパカ Vicugna pacos、ビクーニャ Vicugna vicugna、ラマ Lama glama、グアナコ Lama guanicoeは、すべてラクダ科に属する動物です。ラクダ科の現存する種は、他にラクダ属 Camelus のフタコブラクダとヒトコブラクダのみです。アルパカとビクーニャはビクーニャ属 Vicugna、ラマとグアナコはラマ属 Lama に分類されます。これらのうち、アルパカとラマは野生種ではありません。アルパカの起源はよく分かっておらず、グアナコかビクーニャのどちらか、もしくは絶滅した別の野生種から家畜化されたという説があります。ラマはグアナコを家畜化したものです。
野生種ビクーニャとグアナコの分布
野生種であるビクーニャ、グアナコともに南アメリカ西部の海岸からアンデス山脈に広がる乾燥地帯に生息します。この地域は、非常に雨が少なく、海岸に沿って砂漠が続いています。ビクーニャのほうがグアナコに比べて北部に生息しますが、分布域は重複します。ビクーニャの方が分布域は狭いです。
野生種ビクーニャとグアナコの生態
ビクーニャ
ビクーニャは、3700mから4800mの高山の草原、低木林、砂漠、湿地に生息します。ラクダほども絶飲には耐えられず、生息環境は飲水できる場所がある必要があります。水と植物が豊富に手に入るオアシス周辺では個体密度が高いです。主にイネ科やカヤツリグサ科の草本を餌とします。
グアナコ
グアナコは、0mから5000mまで生息し、冬季は雪に覆われる寒冷な乾燥した草原や低木林に生息します。雪が降る地域では、冬が近づくにつれて低標高に移動しながら生活します。餌の種類は多く、植物の葉、花、果実に加えて、菌類や地衣類までも食べます。
ビクーニャは比較的狭食性で、一部の地域の高標高に特化した種である一方、グアナコは広食性で、広範囲を移動することで、幅広い分布域・標高域で生息可能な種であると考えられます。