12年ぶりの大フィーチャー
ウマは家畜として世界の広い地域で利用され、多くの方に馴染みのある大型哺乳動物です。しかし、ウマと聞いて真っ先に思いつくサラブレットは、野生種ではありません。今回は、野生のウマの仲間についてのお話です。
野生のウマの仲間
現生のウマの仲間は、すべて奇蹄目ウマ科ウマ属に属します。ウマ属 Equus は、大きくシマウマ類、ノロバ類、ノウマ類の3つに分かれます。シマウマは、グレビーシマウマ E. grevyi、サバンナシマウマ E.
quagga、ヤマシマウマ E. zebraの3種がおり、すべてアフリカに生息します。ちなみに、シマウマは、「ウマ」とついていますが、ウマよりもロバと近縁です。ノロバには、アフリカノロバ E. africanus、アジアノロバ E. hemionus、チベットノロバ E. kiang の3種がおり、家畜のロバの原種は、アフリカノロバです。

ノウマ E. ferus については、野外で見られる野生亜種はノウマの亜種であるモウコノウマ E. ferus subsp. przewalskii のみです。ただし、本亜種も一度は野生下で絶滅したと考えられており、現在野生下で生息しているのは施設で繁殖させたものを再導入した子孫です。

家畜のウマは、ノウマの亜種でヨーロッパに生息していた絶滅亜種であるターパン E. ferus subsp. ferus から改良されたと考えられてします。ちなみに、ターパンやモウコノウマはがっしりとした体型の小型のウマであり、よく写真や映像などで目にする草原を走るサラブレットのような大きなウマは、すべて家畜種であり野生種には存在しません。
北アメリカで生まれ、北アメリカでは絶滅したウマ科

最初のウマ科の動物は、遅くとも約5200万年前に北アメリカに生息していたと考えられています。その後、繁栄したウマ科の祖先は、約250万年前の氷期に海面が低下したことによって現れたベーリング陸橋を通ってユーラシア大陸へ移動し、世界中に広がりました。しかし、北アメリカでは1万年ほど前に絶滅しました。絶滅の理由は、気候変動によりイネ科草本が生育できるステップ地帯が苔類や地衣類などしか育たない永久凍土のツンドラ地帯に変わったため餌資源が枯渇したという説と、人が狩猟により絶滅に追いやったという2つの説が考えられています。ちなみに、現在北アメリカで野生化しているウマは、1493年にコロンブスが持ち込んで以降複数回持ち込まれたウマが野生化したものと考えられています。



