ソメイヨシノはみんなクローン!

2018年4月7日 ALL生物
桜並木@哲学の道

バイオームのある京都では、桜はそろそろ終わり。連日賑わっていた、哲学の道周辺も、落ち着きを取り戻して、、、無い!?「何事もはじめ終わりこそをかしけれ」と言いますからね。散りゆく桜を眺めるのも悪くありません。

ソメイヨシノの花@出町柳

ソメイヨシノの花

ところで、桜と言えば、ソメイヨシノですが、このソメイヨシノ、自然に生えていません。ソメイヨシノの種が存在しないからです。ソメイヨシノの木が実をならすことが無いのかと言われれば、そんなことはありません。実がなる場合はあります。ただし、その種の花粉親はソメイヨシノ以外です。そのため、その種を植えたところでソメイヨシノは生えてこないのです。なぜ、ソメイヨシノ同士の交配が生じないのでしょう?それは、サクラ属の植物は自家不和合性を持っていることと、ソメイヨシノのすべての個体がクローンであることで説明ができます。

エドヒガンの花

エドヒガンの花Arashiyama. / CC BY-SA

そもそも、ソメイヨシノは、エドヒガンとオオシマザクラの交雑種です。そのような交雑個体はいくつも作ることは出来ると考えられますが、現在植えられているソメイヨシノは、その交雑種のなかでもとりわけ美しい花を咲かせる個体を、接木などの手法で増やしたものです。取木や接木で増やした場合、それらの個体はすべて遺伝的には全て同一、すなわちクローンです。植木職人が江戸時代にこの美しい花を咲かせる雑種であるソメイヨシノに目をつけてから200年以上、クローンでの繁殖を繰り返し、今では日本全国に100万本以上、ソメイヨシノの人気ぶりはすごいもんですね。

オオシマザクラ

オオシマザクラの花 KENPEI / CC BY-SA

で、こうして増えたソメイヨシノなんですが、先述の通り、サクラ属は自家不和合性を持っているため、同一個体同士では結実しないことが知られています。自家不和合性とは、自個体の花粉が柱頭に付着しても種子を生産しない性質のこと。遺伝的な多様度を上げるため、また、近交弱勢を防ぐための仕組みと考えられています。自家不和合性は、サクラ属以外にも、アブラナ科やナス科でも見つかっています。ここで考えるべき「同一個体」とは、遺伝的な「同一個体」です。ソメイヨシノはクローン繁殖で増やされたものなので、たとえ隣のソメイヨシノであっても、遺伝的には同一なのです。ですので、そこで生産される花粉は、自個体の花粉と同様に認識されます。これが、ソメイヨシノ同士で種子を作ることが無い理由です。

秋になると、もしかするとソメイヨシノにさくらんぼが実っているのを見かけるかもしれません。これを植えたら我が家にもソメイヨシノが!と喜び勇んで植えても、ソメイヨシノは生えてきません。けど、もしかしたらソメイヨシノよりきれいな桜が咲くかも。そんなことを夢見て植えてみるのも楽しいかもしれません。