6月に入るとそろそろホタルの季節ですね。この時期になると、側溝を覗いて今日は何匹見つかったと数えながらよく家に帰ったものです。柔らかく明滅するホタルの光を見ていると、不思議と和んだ気分になります。
今回は、日本に生息するホタルのうち、有名な3種のホタル(ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタル)についてのお話です。ちなみに、日本には全部で50種類くらいのホタルがいますが、そのうちで光るものは10種類ほどです。
ホタルの見分け方
お尻の裏側ばかりが目立つホタルですが、種の同定ポイントは表側の赤い部分の模様にあります。
ゲンジボタル
他のホタルより体が大きい分、光も大迫力です。木に数百匹が集うと、季節外れのクリスマスツリーのようです。本州、四国、九州に分布する固有種で、ヘイケボタルよりも綺麗で大きめの川に生息します。別の川で生息していたものを他の川に放流されることが多いのが本種であり、各地で遺伝子汚染が問題になっています。幼虫は水中で過ごし、食べ物は、カワニナです。雄は、腹の先の方にある体節2筋を光らせますが、メスは、一節のみを光らせます。また雄の方がよく飛ぶ傾向があるようです。
ヘイケボタル
ゲンジボタルよりも体が小さく光も弱いです。国内では、北海道、本州、四国、九州、国外では、中国東北部、シベリア東部に分布し、少し汚れた川や、小さな溝でも生息します。住宅周辺の舗装された小川でも、食べ物になる生き物がいれば、コンクリートの割れ目などに生息することもあります。水田や池などでは、ヘイケボタルが見られることが多いようです。幼虫は水中で過ごし、食べ物は、タニシ、モノアラガイなどです。ゲンジボタル同様、雄は、腹の先の方にある体節2筋を光らせますが、メスは、一節のみを光らせることから、見分けることができます。
ヒメボタル
ゲンジホタル、ヘイケボタルに比べ知名度が格段に低いですが、光ります。幼虫は地上で過ごし、食べ物が、カタツムリなどの陸生貝であるため、川辺にいる上述の2種に比べ、森林内に入り込んだところに生息しています。真夜中に森林を歩き回らないと見られないため、知名度が低いようです。メスは羽を持たず飛ぶことができませんが、雌雄ともに光ります。
おまけ
ちなみに、マレーシア、ボルネオ島にいるこのグロテスクな生き物はサンヨウベニホタルといいホタルの近縁種です。メスだけがこういった形態をしており、雄は普通の甲虫の姿をしているようです。雨が降った後に山に行くと、あっちこっちでのそのそ歩いています。7cmほどある大きさに、このカラーリング、なかなかの迫力です。