アブラゼミの羽化の過程

2018年7月21日 ALL生物

セミの羽化、一度は見てみたいと子供のころによく思っていましたが、健康的に早寝早起きをしていたあの頃、セミの幼虫に出会えたことはありませんでした。夏の夜のオトナの楽しみ、セミの羽化の観察。今回はセミの羽化の過程を写真付きで紹介します。ちなみに、電気をつけたままでも殻を脱ぎ始めますので、観察は容易です。

2018年7月16日

0時13分 舗装道路上を歩くセミの幼虫を捕獲しました。セミの幼虫

1時30分 ひたすら上へ上へと動き回っていましたが、吊り下げたタオルに掴まらせると、やっと動きが停止しました。足がタオルの繊維に引っかかり、安定してよかったのかもしれません。足場を安定させるためか、足の位置の微調整を10分ほど行いました。

1時42分 幼虫の背中が割れて、中から緑の体がむくむくと盛り上がってきました。脱皮開始セミ

1時47分 目も出てきて、直立になりました。半分出たセミ

1時49分  前翅、後翅が殻から出ました。ひっくり返ったセミ

2時00分 お尻だけが殻に残り、そっくり返った体勢になりました。脱皮途中

2時10分  体を起こし、前足を殻に引っ掛け、頭が上になりました。体全体が殻からすぽっと出ました。セミの羽化

2時22分  羽が徐々に広がってきました。

2時46分  上から緑、黄、オレンジのグラデーションになっている翅脈と、青紫色の翅脈の二種類があることがわかります。羽を乾かすセミ

 

3時49分 羽に随分色がつきましたが、まだ乾ききってはいないようです。色づいた羽

8時30分  動き始めました。大人になったセミ

動きを止めてから20分ほどで、背中が割れ始め、大体1時間くらいで殻から体全体が出てきて、羽がのびました。羽化が始まるとみるみる様子が変わります。網戸やタオルなど引っかかりの良いところにつけてやると羽化が開始しやすいと思います。殻から出てくるのに1時間強、体が乾くまで数時間かかり、羽化には全体で4時間ほどかかるようです。天敵となる鳥が動き出す夜明けには飛べるようになっていることが望ましいため、おそらく、遅くても今回の観察の羽化開始時間である1時半かそれより前くらいまでには、羽化を始める個体が多いと考えられます。

土の中での生活に特化した体から、空を飛べる体に大きく変化するのに、たった4時間、しかも、誰に教えられるでもなくその複雑な変身ができるのです。なんだか生命の神秘を感じますね。