意外と働き者?ゴールデンハムスターの能力

2018年10月4日 ALL生物

おっとりやさんで癒し系のゴールデンハムスター、ペットとしてとても人気ですね。昼間のペットショップでは、いかにも眠そうな顔をして、めんどくさそうにこちらをちらっと見たかと思うと、またおまんじゅうスタイルで眠ってしまいます。ですが、飼ってみたことがある方はご存知かもしれませんが、案外夜はガサガサと忙しく動き回っています。絶滅危惧種、ゴールデンハムスターでは、ゴールデンハムスターの自然分布についてお話しましたが、今回は、ゴールデンハムスターの身体能力について、昔私が少しやってみた観察をご紹介します。

当時高校生だった私は、生後5ヶ月の雄のゴールデンハムスターに「はっちゃん」という安直な名前をつけて、はっちゃんにいろいろと実験に協力をしてもらいました。生後5ヶ月といっても、寿命2年半〜3年のネズミですから、もうれっきとした成獣です。
はっちゃん

以下がその実験の内容です。

1, 頬袋にひまわりの種何個入れられるか実験

ゴールデンハムスターは、頬袋に食べ物を詰め込み安全なところに持ち帰る習性があります。はっちゃんに好きなだけひまわりの種を渡したところ、47個の種を一度に運ぶことができました。ひまわりの種1個の重さが0.8gくらいなので、全部で37.6gの種を運んだことになります。はっちゃんの体重が120g くらいだったので、体重の31%の重さのものを頬袋にいれてはこんだことになります。60kgの人が18.6kgのものを運ぶのに相当します。体積は測っていませんが、写真からも分かる通り、小さなハムスターには、47個のひまわりの種は相当な体積です。
はっちゃんのひまわりの種

ちなみにこの一生懸命隠したひまわり、一度隠してしまうと結構無関心な感じで放置され、回収しようとしても、なんら抵抗しないのですが、取り除いてしまうと、どこ行った?と探し回ります。ちゃんと、隠したことを覚えてはいるようです。

2, 回し車でどれだけ移動しているのか実験

昔、ヘルシーメーターという、ハムスターの回し車に取り付けて回転数をカウントする装置が売られていました。回し車に小さな磁石をとりつけ、それが所定の位置に近づくとカウントされるというものです。7日に渡り夜11時頃から朝7時頃までカウントした結果です。

1日目 6662(回転) × 51cm(回し車1回転の長さ) = 3.397km (走った距離)
2日目 6091(回転) 3.106km(走った距離)
3日目 6094(回転) 3.107km(走った距離)
4日目 6029(回転) 3.074km(走った距離)
5日目 3254(回転) 1.659km(走った距離)
6日目 2286(回転) 1.165km(走った距離)
7日目 246(回転) 0.125km(走った距離)

最もよく走った日で3km以上回し車を回しているようです。
また、良く動く日と、怠ける日に大きな差があることもわかります。
ハムスターにもやる気の出る日と出ない日があるのでしょうか。

ちなみに、回し車を10回回すのにかかった時間を測定し、時速を計算してみると、2.2km/hくらいの早さで回しているようです。かなり一生懸命走っているようにみえますが、人間の歩く早さの半分くらいの早さのようです。

3, 迷路の道順を覚えているか実験

ダンボールで迷路を作って、はっちゃんに歩いてもらいました。
はっちゃんの迷路
結果は、以下です。

ゴールまでの所要時間
1回目 2分16秒
2回目 37秒
3回目 16秒

5分後 23秒

1日後
1回目 1分36秒
2回目 10秒

成績はみるみる上がりました。
なかなか賢い!道を覚えることができているのか、一度自分が通ったところの匂いをたどっているのか、そこまではわかりませんが、経験を重ねることで目的地に向かう効率を上げる能力はあるようです。

以上の3つの実験の結果から、

  • ゴールデンハムスターは、体重の3割以上もの重さの食べ物を頬袋に入れて運ぶことができる。
  • 一晩に少なくとも3km以上を移動することができる。
  • 経験により移動経路の効率化ができることがわかりました。

ぼんやりおっとり顔の癒し系もやるときはやるようです。