人気者、ミノムシの引きこもり生活史

2018年12月10日 ALL生物

ミノムシは、木の端くれを使って寝袋みたいな自分の家を作る生き物として、子供にも親しまれ、知らない人はほとんどいない生き物です。ですが、中にどんな生き物が入っていて、どんな風な生活をしている生き物なのかについては、知っている人は少ないのではないでしょうか。
今回は、人気者ミノムシの意外な生活についてのお話です。

ミノムシとは?

ミノムシは、ミノガ科のガの幼虫です。一般的にミノムシと呼んでいる生き物は、オオミノガとチャミノガの2種です。ミノムシの中を開けると至ってふつうの芋虫が入っています。

ミノムシは、冬の植物の葉が無くなった時期に目立つため、その時期にしか居ないように思われることもありますが、それ以外の時期にもミノに入って生活しています。冬は活動せずに、ミノの出入り口を閉めているため、ミノムシの中にどんな生き物がいるのかみたことがない人も多いかもしれませんが、活動している時期には、普通にミノから芋虫のような顔を出して、むしゃむしゃ植物の葉を食べています。家を運びながら歩くカタツムリと同じような感じです。

ミノムシ

photographed by harum.koh

オスとメスで大きく異なる成虫の形

オオミノガはオスとメスで大きく異なった形態の成虫になります。

オスのオオミノガは、ガらしくなり、最終的には飛び立ってメスを探します。

ミノガ

ミノガ科の一種photographed by 旭宏 林

オオミノガのメスは、羽どころか脚もなく、芋虫のような見た目のままで、一生自分の作ったミノの中に入りっぱなしです。
交尾もミノの中にオスが交尾器を差し込んで行われます。産卵もミノの中で行います。

オオミノガの生活史

4月~6月 蛹になる。

6月〜8月 羽化、交尾、産卵
オスのみ羽化し、メスが出すフェロモンに誘引され、メスのミノに交尾器を差し込んで中にいるメスと交尾する。オスは交尾後死ぬ。

6月~10月 孵化、成長。
産卵後、20日くらいで孵化する。孵化直後くらいに、母ミノガは、ミノから落ちて死ぬ。母ミノガのミノの中で生まれた子供は、ミノの下の穴から外に出て、糸を垂らし風に乗って移動する。移動先で、早速ミノを作り、1齢から7回脱皮し、8齢(終齢)までミノの中で生活する。

10月~4月 ミノを閉じて越冬する。