地面を歩く三葉虫!?ボルネオに住む変な生き物

2019年2月21日 ALL生物
サンヨウベニボタル

この奇妙な生き物、なんの仲間かわかりますか。
こんな姿の生き物が現在の地球にいるということだけでも驚きですが、もっと驚くのはなんとこの生き物、ホタルと近縁な甲虫目の生物なのです。今回は、世にも奇妙な生き物、サンヨウベニボタルについてのお話です。

サンヨウベニボタルとは?

サンヨウベニボタルは、甲虫目ホタル上科ベニボタル科の甲虫です。三葉虫に似ているということから、この名前がつけられたと言われています。サンヨウベニボタルは、Platerodrilus(旧名Duliticola)属に属す昆虫のことを指します。Platerodrilus属は、約20種が知られていましたが、2013年にDNA解析により、新たに13種記載されました。分類が進んでいないため、まだまだ新しく種が出てくる可能性があるようです。

体の割に顔はとても小さいです。突き出ているのは、おそらく触覚のような役割を果たす部分で、その根本にある小さい黒い点が目です。足には小さな鍵爪がついていますが、しがみつく力はあまり強くなく、ポロリと簡単に手から落ちてしまいます。
サンヨウベニボタル

驚かせるとカタツムリのように顔が引っ込みます。

サンヨウベニボタル

お尻には吸盤のようなものがついています。

サンヨウベニボタル

見た目が大きく異なるオスとメス

サンヨウベニボタルは、オスとメスの成体の形が大きく異なります。この三葉虫のような形態をしているのは、幼虫とメスのみで、オスは、他のベニボタルと同様、翅があり、日本で見られるホタルと同じような雰囲気の昆虫です。

サンヨウベニボタル

サンヨウベニボタルのメス

サンヨウベニボタルのいる森林で見つけたベニボタルの一種。サンヨウベニボタルのオスと形態が非常によく似ており、サンヨウベニボタルのオスの可能性もある。

形態だけでなく、サイズも雌雄で大きくことなり、オスは、1cmにも満たない一方、メスは7-8cmほどの大きさになります。オスとメスの外観があまりに異なっているため、サンヨウベニボタルのオスは長年サンヨウベニボタルのメスとは別種と考えられていたようです。交尾をしていることが確認されてはじめて、同種であることが認識されたようです。また、メスは、性成熟をしても、幼虫の姿と異ならないため、生殖器を詳しく観察しないことには成虫なのかどうか判断が難しいそうです。

どんなところに住んでいるの?

サンヨウベニボタルのいる森

サンヨウベニボタルのいる森。木の幹にコケが生えているような湿った森林です。

インド、東南アジアの熱帯雨林で見られるようです。少なくとも、マレーシア、ボルネオ島のキナバル公園内の標高1800m付近は、かなり密度が高いです。そこは熱帯といえども、標高が高いのでそれほど暑くはなく、一年を通して、日本の春や秋のような気候です。木の幹や、倒木には、コケがむしており、湿気が高い場所です。トレイルを歩いていると、のそのそと落ち葉や、倒木の上などを歩いているサンヨウベニボタルを容易に見つけることができます。特に雨が上がって地面が濡れているときは見つけやすい気がします。

サンヨウベニボタルの食べ物

食べ物については、はっきりわかっていないようですが、菌類や粘菌類を食べているのだろうと推測されています。しかし、自然環境下で観察、記録された例はないようです。飼育下では、昆虫ゼリーと粘菌で数ヶ月生存することは可能なようです。しかし、繁殖が可能かどうかについてはわかっていないようです。