日本在来のタンポポと外来のタンポポの違い

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日本在来のタンポポと外来のタンポポの違い

2019-04-27T12:18:45+09:00 2019年4月26日|Categories: ALL 生物|Tags: , , |
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タンポポは、日本で最も普通に見られる野花の一つでしょう。しかし、同じ黄色い花でも、外来種のタンポポと在来種のタンポポが混在していることもあります。今回は、見た目はほとんど変わらないタンポポの在来種と外来種の生態学的な違いについてお話します。

日本のタンポポの在来種と外来種

日本には、在来のタンポポと外来のタンポポが混在しています。在来のタンポポは、15種に分けられ(森田、1995)、関東以南では、遺伝子型が2倍体のものが多く、関東より北では3倍体以上の高次倍数体のものが多いという特徴があります。一方、外来のタンポポは、アカミタンポポを除き、すべてまとめてセイヨウタンポポと呼ばれますが、ヨーロッパでは、もっと細かく分類されており、日本にあるセイヨウタンポポもその分類に照らし合わせると複数種に分けられる可能性があります。日本で生育しているセイヨウタンポポはすべて3倍体で、ヨーロッパまたは、中近東起源と考えられています。

在来種のタンポポと外来種のタンポポの見分け方

近年、雑種ができたり、新たな外来のタンポポが侵入したことにより、例外もあるようですが、多くの場合、花の下の緑色の部分(外総苞片)が反り返っているものが外来のタンポポ、反り返っていないものが日本のタンポポと考えて、間違いはないようです。

セイヨウタンポポ

セイヨウタンポポ、外総苞片が反り返っています。

在来タンポポ

在来タンポポ、外総苞片が反り返りません。

日本の気候に合った在来タンポポの生存戦略

在来のタンポポは、夏にほとんど葉を落とし、秋頃にまた葉を出し、成長するという特徴がありますが、外来のタンポポは、1年中成長を続けます。暑い夏は働かないという在来のタンポポのこの生き方は、一見怠け者のように見えますが、実は賢い生存戦略なのです。タンポポは通常ロゼット型の葉を作るために、背丈をそれほど大きくは成長させません。そのため、近くに繁茂する背の高い植物があると、すぐにその植物の影になり、十分な日光を得ることができなくなってしまいます。夏期には、多くの植物が葉をつけ大きく成長します。それらの植物の影になった状態では、糖(栄養)を十分生産できません。それにもかかわらず葉をつけていると、蒸散により水分が奪われたり、呼吸をすることによる糖の損失があったりと、コストが余計にかかってしまいます。在来のタンポポは、夏の間は、葉を落とし、それまでに蓄えた栄養の維持に徹するのです。

セイヨウタンポポ

種子が芽を出す時期にも、在来タンポポと外来タンポポには、差異があります。在来のタンポポは、春に生産した種子を初夏、秋、翌年の早春と3度に分けて発芽させます。発芽を3度に分けることによって、夏期に行われることが多い刈り取りの作業があっても全滅は防げるなど、環境の変化によるリスクを下げることができるようです。カンサイタンポポ、トウカイタンポポなどの在来のタンポポは、20度以上になると発芽率が非常に低下する性質をもっており、これにより成長に適さない真夏に実生の状態でいることを避ける仕組みになっているようです。一方、セイヨウタンポポは、ほとんどすべての種子が散布されてすぐの初夏に発芽してしまいます。しかし、タンポポの実生は、夏に地面が乾燥することによって死亡することが多く、初夏に出芽したセイヨウタンポポの実生の生存率は、秋に発芽させたものよりも低いようです。セイヨウタンポポにも、種子が乾燥を経験すると発芽しないという機能はあるようですが、日本には、梅雨があるため、ほとんどの種子が発芽してしまうようです。また、発芽率が大幅に減少する気温が日本のタンポポの20度よりも高い25度であることも、初夏の発芽が抑制されない原因のようです。セイヨウタンポポは、花期が春から秋までと在来のタンポポに比べて長く、その間ずっと種子を生産し続けます。そのため、種子の発芽時期が夏だけになるということはありませんが、発芽に適さない夏にも発芽してしまっているために、実生の死亡率が高くなり、在来のタンポポよりも繁殖効率は悪くなっていると考えられます。

在来タンポポと外来タンポポの次世代生産性の違い

シロバナタンポポ

在来種、シロバナタンポポ

日本のセイヨウタンポポは、すべて3倍体であるため、次世代の更新は、受粉をせずに、もともとの個体の遺伝子と全く同じ種子を生産することによって行われます。このため、たった一個体あれば、次世代を作ることができます。しかも、全花(タンポポは、舌状花と呼ばれる小さな花の集まり)のうち80%が種子を作ることができます。一方、在来の二倍体のタンポポは、他個体の花粉を受粉しなければ種子を作ることはないため、種子生産には、必ず他の個体が近くにいることが必要です。しかも、遺伝的に近い個体の花粉を受け取っても、正常な種子を作りにくいようです。在来のタンポポは、個体群が孤立した場合、外来のタンポポに比べ圧倒的に不利になります。

引用文献 : 小川潔(2013)『日本のタンポポとセイヨウタンポポ』丸善出版