いらないものを捨て、いるものを立派に ー不思議ないきもの ハダカデバネズミー

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いらないものを捨て、いるものを立派に ー不思議ないきもの ハダカデバネズミー

2019-11-26T13:54:36+09:00 2019年11月18日|Categories: ALL 生物|Tags: , , , , |
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そのなんとも個性的な見た目で、有名になったハダカデバネズミですが、個性的な見た目は、個性的な生活への適応の結果といえます。2回に渡ってハダカデバネズミのお話をしますが、今回は、そんなハダカデバネズミの生態と形態についてのお話です。

ハダカデバネズミとは?

齧歯目デバネズミ科ハダカデバネズミ属に属する生き物で、ハダカデバネズミ属の生物は、ハダカデバネズミのみです。デバネズミ科の生物は、15種が知られており、全ての種が地下で生活し、前歯が出ていますが、毛が生えていないのは、ハダカデバネズミだけです。生息地は、アフリカのケニア、エチオピア、ソマリアです。地中に穴を掘って、群れで生活します。体サイズが10~13cmほど、体重が30〜80グラムほどという小型の生物でありながら、寿命が30年ほどもあり、その長寿命についても研究対象として注目される生物です。

何を食べるの?

ハダカデバネズミ

Photo by Ltshears – Trisha M Shears [Public domain], via Wikimedia Commons


野生化では、植物の根や野生のイモを食べます。ミミズや昆虫を食べるモグラとは異なり、ハダカデバネズミの食べ物は、動かないため、振動を便りに餌を探すことができません。そのため、ハダカデバネズミはパワー勝負で、地上から10cmにも満たない地中を、地表に沿ってひたすら直線的にトンネルを彫り続けて食べ物を探します。直線的に掘るというのは、同じところを二度探さないようにするためだと考えられています。また、見つけたイモは、一気に食べてしまうのではなく、植物の成長を待ちながら少しずつ食べ、トンネル内で、食べ物の収穫時期に合わせて移動しながら暮らしていると考えられています。野生化の群れでは、80匹ほどの群れが住むトンネルの長さが3キロにも及ぶ例が報告されています。ちなみに飼育下では、サツマイモ、ニンジン、オレンジ、リンゴの中では、根菜ではなくリンゴが好きだそうです。

ハダカデバネズミは、なぜ出っ歯で裸なの?

ハダカデバネズミ

Photo by Roman Klementschitz, Wien [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons


ハダカデバネズミの見た目のインパクトを大きくしているのは、やはり大きな前歯と毛が生えていないことではないでしょうか。大きく出た前歯は、地中で土を掘るのに使います。同様に、地中生活者のモグラは、土を掘るための大きな手を持っていますが、ハダカデバネズミには、そのような大きな手はありません。もっぱら前歯を頼りに地面を掘り進んでいるようです。そのため、歯は1週間に5ミリの速さで伸び続けており、ネズミの歯が生える速さの2倍ほどの速さです。表面に出ている歯の長さもおよそ5ミリほどなので、1週間で歯が新しく入れ替わることになります。ちなみに、ハダカデバネズミの口はうまくできていて、前歯が口唇よりも前にあるため、どれだけ口を開いても口唇は閉じたままにすることができ、口の中には、土が入らない構造になっています。また、下の前歯2本は、横に開くことができ、そこに食べ物を挟んで持ち歩くのに便利なようです。
裸、つまり毛が無いことの理由は、ダニやノミなどの寄生虫に取りつかれるのを防ぐためだという積極的に裸になった説もあるようですが、そもそも地中生活をしているため、巣の中は、常に28℃-32℃ほどに保たれており、雨に打たれることも無いため、体温調節のための体毛は必要無いと考えられています。生まれたての子供は、体温が下がりやすいため、子供を温めるためだけの仕事(複数匹が集まって女王と子供の下敷きになる)をしているデバネズミがいます。保温のための体毛はありませんが、感覚毛はあり、狭いトンネル内をぶつからずに移動するのに役立っています。ちなみに、目は、非常に小さく、光を感じる程度にしか働かないと考えられています。

次回は、哺乳動物ではたった2種しか知られていない真社会性をもったハダカデバネズミの群れ生活についてお話したいと思います。

参考文献: 吉田重人、岡ノ谷一夫『ハダカデバネズミ』岩波書店, 2008年