イカが体色を変える仕組み

2020年8月23日 ALL生物

イカは興奮した時に、瞬時に色を変えることができます。その色の変化の速さと美しさは驚くべきものです。今回は、その仕組についてお話ししたいと思います。

イカがもつ2つの色素

イカは、色素胞と虹色素胞という2つの色素細胞を持っています。

それらはそれぞれ別々の色を発します。

色素胞が色を発する仕組み

色素胞の中には、オモクロームと呼ばれる赤色、黄色、褐色の色素が、弾性のある袋(弾性小嚢)に入っています。弾性小嚢は、一つの色素胞に一つ入っています。また、一つの色素胞に入っているオモクロームは一色のみです。色素胞は、弾性小嚢とともに、筋繊維によって広がったり縮んだりします。弾性小嚢が広がったときには、オモクロームの色(赤か黄か褐色)が広がり体色がオモクロームの色に見え、弾性小嚢が縮んだときにはオモクロームの色の部分が小さくなり、体色が白く見えます。また、黄、赤、褐色のオモクロームを含んだ色素胞が皮膚で何層にも重なっているため、イカの色はより複雑な色に見えます。

虹色素胞が色を発する仕組み

虹色素胞は、その名の通り虹色にキラキラと光ります。こちらの細胞は色素を持っておらず、板状構造の細胞が光を反射することによって構造色を生み出します。キラキラ光るチョウの翅やタマムシの翅、サンマやイワシなどの銀色も構造色です(参考: タマムシの生態と美しい理由)。イカは、この虹色素胞を伸縮させることによって、体色を変化させます。

なんのためにイカは色を変えるのか。

イカは、興奮した状態の時によく色を変えることが知られていますが、その目的は、天敵から逃げる際に、周りの環境に溶け込むために擬態を行う、天敵に対する威嚇を行う、求愛を行うなど、複数の目的が考えられています。しかし、なんと、イカ自身は、青色しか見ることができないようです。

参考:東邦大学メディアネットセンター. 「青い魚はなぜ青い?」URL https://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/fish/QA/QandA.html#18.