アマガエルが、周囲の色に合わせて体色を変化させているのを見かけたことがある方もおられるかもしれません。一体どのような仕組みなのでしょう。前回のイカの体色変化に引き続き、今回はカエルの体色変化についてのお話です。
色が変わるカエル
アマガエルは、植物の葉の上に居るときは黄緑色をしていますが、茶色い地面に居る時は暗い色に、コンクリートの上に居る時はコンクリートに似た灰色っぽい色になります。正常なアマガエルは、黄緑、茶色、灰色、白色に色を変えることができます。
このような色の変化は、シュレーゲルアマガエルやモリアオガエルなどの他のミドリ色のカエルにも見られますが、日本で最も顕著にこの変化を確認できるのはアマガエルです。
アマガエルの色が変わる仕組み
アマガエルの皮膚は、表面から黄色素胞、虹色素胞、黒色素胞の三層構造になっています。イカの体色にも使われている虹色素胞は結晶構造を持っており、構造色を発します。緑に見える状態は、虹色素胞が緑の光だけを反射している状態です。イカの場合はこの虹色素胞を伸縮させることによっても、色の変化を起こしますが、カエルの場合は、この虹色素胞による色の変化は知られていません。カエルが暗いところで黒っぽい色になったり明るいところで明るい色になるのは、黒色の色素が黒色素胞の中で広がったり(黒っぽくなる)、集まったり(黒みがなくなる)することによると考えられています。これら三層が光を反射もしくは吸収することによってアマガエルの色が決定されます。
カエルの色の変化については、以上の仕組みがわかっていますが、まだ、完全に解明されているわけではありません。
どうしてカエルの変色はゆっくりなの?
前回お話したように、イカは瞬時に色を変えることができます。一方、カエルは色を変化させるのに数十分とかなりの時間がかかります。これは、イカの体色変化が神経によって制御されている一方、カエルの色の変化は、ホルモン(メラニン細胞刺激ホルモン)の働きによって制御されているためだと考えられています。ちなみに、カメレオンの色の変化もイカと同様非常に早く、神経による制御を受けていると考えれています。
カエルはどうやって何色になるか決めているの?
カエルは、視覚情報を元に体色を変化させていると考えられています。つまり、目が見えないカエルは、普通のカエルのようには体色変化を起こさないものと考えられます。ちなみに、カエルは二種類の桿体細胞を持ち、暗がりでも色が識別できることが最近の研究より明らかになっています。