タピオカの原料 キャッサバのお話

2020年12月16日 ALL生物
キャッサバ Photo by Maya A. P via Pixabay.

みんな大好きタピオカ。その原料はなにか知っていますか?キャッサバという芋です。栄養や水が乏しい土地でも育つ丈夫な作物として世界中で植えられています。今日はキャッサバのお話です。

キャッサバってどんな植物?

キャッサバ Manihot esculenta はトウダイグサ科の低木です。トウダイグサ科はアカメガシワやナンキンハゼ、ラフレシアが含まれる分類群です。

ちなみに種としてのトウダイグサはこんな植物です。

タピオカティーが台湾や東南アジアでよく飲まれていることから、キャッサバもまた東南アジア原産であると思われる方も多いかもしれません。でも実は南米ブラジルが原産です。「タピオカ」という言葉もブラジルの先住民の言葉です。

キャッサバの芋

キャッサバの芋(falcoによるPixabayからの画像)

大変丈夫な植物で、挿し木をするだけで発根し、生育します。乾燥にも貧栄養にも非常に強く、食糧問題の解決にも一役買うことが期待されています。ただし、寒さには弱く、15度以下になると成長が止まります。

食用として利用されているのは、キャッサバの芋(根)です。芋は茎の周りに同心円を描いてつきます。実は、キャッサバには芋も含めて毒(シアン化水素:HCN)があり、食べるためには毒抜きが必要ですが、その毒のおかげで昆虫や哺乳動物に食べられにくいと言われています。

海を渡ったキャッサバ

キャッサバ

キャッサバ畑 (Bishnu SarangiによるPixabayからの画像)

南米にしか生えていなかったキャッサバがアフリカでも栽培されるようになったのは、ヨーロッパ列強によるアフリカの植民地支配が背景にあります。南米からアフリカに持ち込まれたのは16世紀。三角貿易の際、アフリカの人を奴隷としてアメリカ大陸に連れて行く際の船内の食料として利用されました。先述の通り乾燥にも貧栄養にも耐性があることから、アフリカでも育ちます。その後、19世紀から20世紀にアジアでも多く栽培されるようになりました。

タピオカだけじゃない!

実はキャッサバの用途はタピオカだけじゃありません。アフリカや南米では、キャッサバを主食としている国がたくさんあります。また、家畜飼料やエタノールの原料としても使用されています。葉については、バイオマス燃料の原料として利用されることもあります。このように、キャッサバの使用用途は極めて多岐にわたります。

参考文献:井芹信之. 2016. キャッサバの基礎がわかる キャッサバABC. https://www.jica.go.jp/project/all_asia/005/materials/ku57pq000025s2lv-att/cassava_about.pdf