雄しべが動く! ヒイラギナンテン

2021年2月28日 ALL生物

動く植物といえば、昆虫が止まると2枚の葉で閉じ込めるハエトリソウや、刺激が与えられると葉を閉じるオジギソウなどを思い浮かべるかもしれません。実は、庭や公園の植え込みによく使われている身近な植物の中にも、動く植物があります。今回は、動く雄しべをもつヒイラギナンテンのお話です。

ヒイラギナンテン Mahonia (Berberis) japonicaとは?

ヒイラギナンテン
キンポウゲ目メギ科の植物です。ヒイラギナンテンをメギ属とするのか、ヒイラギナンテン属とするのかについては、意見が分かれているようです。ヒイラギナンテン属の植物は、世界に約70種ほどあり、東アジア、ヒマラヤ、北アメリカから中央アメリカに分布します。

ヒイラギナンテンという名前は、ヒイラギに似た棘のある葉があり、実の付き方がナンテンに似ていることに由来します。なお、ヒイラギはモクセイ科モクセイ属、ナンテンはメギ科ナンテン属です。ヒイラギナンテンは、学名にjaponicaと入っていますが、台湾が原産地で、日本には江戸時代初期に中国から渡来した考えられています。耐寒性・耐暑性が強く、日本では公園や庭によく植えられます。

ヒイラギナンテンの動く雄しべ

花は、2月〜4月に咲きます。春に他の花が一斉に咲き始めるよりも一足早く花を咲かせます。

ヒイラギナンテンの花は、両性花で雌しべの周りに雄しべがあります。花弁に刺激を与えると雄しべが中央の雌しべの方向に動きます。

ヒイラギナンテン

刺激を受ける前の花。雄しべが外側にあります。

ヒイラギナンテン

刺激を受けた後の花。雄しべが中央に集まっています。

どうして雄しべがこのように動くのかについては、訪花昆虫に効率よく花粉を運んでもらうためだと考えられていますが、実際にこの植物にどんな昆虫がきて、どのように花粉が昆虫に付くのかについてはよくわかっていないようです。