今日は二十四節季の寒露。いよいよ本格的な秋の到来です。ぐっと冷え込んできましたが、ランタナは夏が終わってもなお花を咲かせています。
ランタナとは?
ランタナ Lantana camara はクマツヅラ科シチヘンゲ属の常緑小低木です。原産地は南アメリカです。日本では、冬に枯れることが多いですが、暖かい地域では越冬して2mほどに成長します。
花の色を変えるランタナ
ランタナは、シチヘンゲとも呼ばれます。花の色がしだいに変化することからこの名がつけられました。ランタナは、複数の花が一塊になっていますが、内側からどんどん新しい花が咲いていくため、塊の外側の花は内側の花よりも開花してから時間が経過しています。ランタナの花は、時間が経つと黄色からピンク色に変わる性質を持っているため、花の塊の外側と内側で色が異なります。この色の変化は、アントシアニンの合成・蓄積によるものです。花弁の色を変化させることで、また送授粉が完了していない咲いてから間もない花に、うまく訪花者を誘導しているものと考えられます。
都合のいい果実食者を選別するランタナの果実
ランタナの種子には、ランタニンと言われる有毒成分があります。種子を砕くことなく、果実をを丸呑みする鳥は、その毒を摂取せずに済みます。そのため、鳥にとってランタナは餌となる果肉を提供してくれる植物であり、同時に、ランタナにとっては鳥は種子散布者として働いてくれる良いパートナーとなります。
一方、果肉を食べる際に種子を砕いて食べることが多い牛や羊などの哺乳動物は、ランタナの果実を食べる際に、種子の毒を摂取することとなります。幼獣では死ぬこともあります。ランタナにとってみたら、種子を砕いてしまう哺乳動物による果実の摂食は望ましく有りませんから、種子に毒を含むことで彼らに食べられないようにしていると考えられます。
外来種として問題になっているランタナ
ランタナは世界中に持ち込まれ、特に、熱帯から亜熱帯気候の地域で野生化し問題になっています。発芽率の高い種子を多く生産し、1個体が12200個の種子を作ったという記録もあります。
日当たりの良い開けた環境だけでなく、森林内にも侵入し下層植生の構造を変えるほどの影響を与えます。また、畑の雑草にもなり、畑の作物や牧草と競合して、それらの生育を阻害したり、牧草地に生えたランタナの葉や種子を食べた羊や子牛が死ぬことがあるなど、農業や牧畜にも被害が出ています。そのような事から、本種は世界の侵略的外来生物ワースト100に選ばれています。
日本には、1865年頃、観賞用に持ち込まれました。日本の野外では、人の管理がないと冬に枯れることが多いですが、小笠原諸島、沖縄では周年生育が可能で、人家周辺やその跡地で野生化している場合があります。日本でも生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されています。