いじけたオオイヌノフグリじゃないよ!
春の暖かい日差しを感じるようになると、オオイヌノフグリが一斉に咲き始めます。でもちょっと小さな花を咲かせているケバケバのものがいたら、それはフラサバソウかもしれません。
フラサバソウとは?
フラサバソウ Veronica hederaefoliaは、オオバコ科クワガタソウ属の越年草です。ヨーロッパ原産で、世界中の温帯地域に帰化しています。日本には、明治時代に長崎県で初めて確認されました。フランス人の植物学者フランシェとフランス人の医師であり植物学者でもあったサバチェが日本での初記載をおこなったため、彼らの名前を並べてフラサバソウという和名がつけられました。日本には、クワガタソウ属の植物が帰化種も含めて20種ほどあり、その中で在来種であるイヌノフグリに似た形態をもち、同様の環境に生育する種には、タチイヌノフグリやオオイヌノフグリなど「イヌノフグリ」の名がついているものが多いですが、フラサバソウは、その中では例外的といえます。
英名では、ivy-leaved speedwell(ツタの葉のクワガタソウ属の植物)といわれており、葉の形がツタに似ているところから名付けられたようです。
日本では、北海道から沖縄で確認されており、特に関東地方以西でよくみられます。
フラサバソウが生育する環境は?
フラサバソウは、オオイヌノフグリと混じって見つかることもありますが、近畿ではオオイヌノフグリと比較すると、土が硬くあまり耕されていないような環境で見られることが多く、畑のように土が柔らかい環境では、オオイヌノフグリに負けてしまっているという印象があります。九州では、畑や水田の裏作で雑草として繁茂することが問題になっているようですので、地域によって生育環境の傾向に違いがあるのかもしれません。
フラサバソウとオオイヌノフグリの違い
葉や茎が伸びる雰囲気や花は、同属であるオオイヌノフグリに似ており、一見するとオオイヌノフグリのいじけたやつと思ってしまいそうです。しかし、よく見ると全体に毛が生えており、ケバケバした雰囲気があります。オオイヌノフグリと同様に群生しますが、花が小さく色も薄く、葉と葉の間に挟まるように花をつけるため、開花してもオオイヌノフグリのように地面に青い花を散りばめたような景色にはなりません。