どこでもここでもミシシッピアカミミガメ
お祭りのカメすくいのカメとしても利用され、ペットとして親しまれてきたミドリガメですが、2023年6月より条件付特定外来生物に指定されました。前回に引き続きアカミミガメについて、今回は生態を中心にお話します。
ミシシッピアカミミガメとは?
ミシシッピアカミミガメ Trachemys scripta subsp. elegans は、ヌマガメ科アカミミガメ Trachemys scripta の亜種です。ミドリガメと呼ばれるカメは、ミシシッピアカミミガメの子ガメです。飼育下では30年ほど生き、成長すると甲長が28cmほどになります。アメリカ南部からメキシコ北東部に自然分布します。日本ではほぼ全国、海外ではインド、東南アジア、ヨーロッパ、ハワイなどに移入分布します。日本では1950年頃にアメリカから愛玩用に輸入されるようになり、1960年代には野外でも見られるようになりました。1990年代半ばには100万個体以上が、その後現輸入量は減少したものの近年まで数万個体が毎年日本に輸入されてきましたが、2023年6月より、ミシシッピアカミミガメを含むアカミミガメの輸入は禁止されました。なお、アカミミガメはIUCNの定める世界の侵略的外来種ワースト100に指定されており、ヨーロッパや韓国、オーストラリア、南アフリカ共和国などでは輸入が原則禁止されています。
アカミミガメの生態
アカミミガメは昼間に活動し、よく水の上に出た流木や石の上で日光浴をします。雑食性で、水草、魚、ザリガニ、水生昆虫など様々なものを食べます。在来のカメよりも、水質の悪い環境でも生息することが可能です。また、塩分に対する耐性も強く、汽水域でもみられることがあります。在来のカメが生息しない北海道でも見られ、越冬も可能ですが、北海道で産み付けられた卵が孵化するまで生育することは困難であると考えられています。
アカミミガメが起こす問題
アカミミガメは在来のカメと同じものを食べるため、餌資源を巡って競合する可能性があります。また、カメの卵を食べる習性があるため、在来のカメの繁殖に影響を与える可能性があります。加えて、雑食であり、水草や水生昆虫など様々なものを食べるため多くの種が捕食の影響を受けます。一方で、在来のカメとの交雑の恐れは無いと考えられています。