ピンクの卵の正体は?

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ピンクの卵の正体は?

2021-07-31T17:09:39+09:00 2021年7月31日|Categories: ALL 生物|Tags: , , |
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田んぼの稲にピンク色の塊がくっついているのに気づいたことはないでしょうか。私の実家の周りの田んぼでも、数年前からこのピンクの塊が見られるようになりました。今回は、日本で増えつつある外来種、ジャンボタニシこと、スクミリンゴガイのお話です。

ジャンボタニシとは?

ジャンボタニシ

ジャンボタニシは、スクミリンゴガイ Pomacea canaliculata の俗称です。俗称にタニシとついていますが、タニシ科ではなくリンゴガイ科リンゴガイ属の淡水巻貝です。原産は南アメリカです。殻高5〜8cmと極めて大きく成長することもある巻貝ですが、よく見かけるのは2〜3cmほどの大きさのものです。ジャンボタニシ

東南アジア、インドネシア、韓国、日本、ハワイなど世界で広く移入、定着しています。IUCNの「世界の侵略的外来種ワースト100」及び、日本生態学会の「日本の外来種ワースト100」に挙げられています。

ジャンボタニシの生態

最適条件では、約2ヶ月で成熟して、卵を3-4日おきに2-3ヶ月間に渡って生み続けます。生涯に数千個の卵を生むことができると考えられています。寿命は、日本の野外では2年ほど、飼育下では4年ほどです。幼体や成体に対する天敵は、魚類、鳥類、甲殻類、水性昆虫、カメ類、ドブネズミなどがいますが、卵には神経毒が含まれており、天敵になりうるのは、原産地南アメリカに生息するヒアリだけだと考えられています。

ジャンボタニシの卵

稲に産み付けられたジャンボタニシの卵 水中では孵化が困難なため、水面より上に産卵する。

日本での生活史は次のとおりです。夏に生まれたものが秋に殻高1〜3cmほどになり、土に潜って越冬します。翌春に水田に水が入ると活動を再開しますが、次の冬には大きく成長しすぎて土にうまく潜れなくなり、越冬が困難になります。こうして日本では、夏に生まれて翌年の冬に死ぬのが一般的だと考えられています。植物性の強い雑食性と考えられていますが、動物質のものもよく食べ、魚の死体に群がっていることもあるようです。

耐乾性は強く、乾燥した環境では殻のフタを締めて半年以上生きることができますが、耐寒性は低く、0℃が25日以上続くと死に、−6℃では24時間以内に死にます。

ジャンボタニシ

驚かせるとすぐに殻のフタを閉める。

ジャンボタニシ

干上がった田んぼには、ジャンボタニシが沢山転がっていた。殻にフタをして乾燥に耐える。

どうして日本にジャンボタニシが生息しているのか

日本にやって来たのは1981年、食用として台湾から移入されたのが始まりです。日本各地で35都道府県、500箇所にもなる養殖場ができました。1984年に有害動物に指定されましたが、それらの養殖場から、遺棄されたり逃げ出したものが野生化しました。日本での分布が認められているのは、関東以南です。日本での分布拡大の要因には、土壌改良のために他の場所から土壌を搬入したり、ペットとして飼育されたものが逃げたりなどがありますが、ジャンボタニシが雑草を食べることから、農家によって放飼されることもあるようです。

ジャンボタニシの被害

ジャンボタニシの卵

大量に産み付けられたジャンボタニシの卵

ジャンボタニシは、稲、レンコン、イグサ、ミズイモなどの農作物を食害することが知られています。また、東南アジアに侵入したジャンボタニシによって在来巻貝の一種の減少が報告されています。

ジャンボタニシは雑草駆除を目的に放飼されることがあるようですが、その目的で使用するには、厳密な田んぼの水深の管理が必要です。周囲の田んぼでその管理が行われなければ、拡散したジャンボタニシにより、それらの田んぼに被害を与えることになります。また、外来種による生態系への影響は計り知れません。特に、ジャンボタニシのような小さな生物は、一度拡散すると駆除が非常に困難です。安易に外来種を導入したために生態系が改変し、取り返しがつかなくなった事例は世界中に沢山あります。外来種の意図的な導入は、絶対に避けるべきです。