アメリカナマズの実地調査へ行ってきました

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アメリカナマズの実地調査へ行ってきました

2021-05-07T11:49:29+09:00 2021年5月7日|Categories: ALL 生物 社会|Tags: , , , |

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アメリカナマズとは?

アメリカナマズ(標準和名:チャネルキャットフィッシュ)とは、アメリカ原産の大型のナマズです。

アメリカナマズ(photo by 内田光星)

 

食用目的で国内に移入され、養殖場から逃げ出すなどしたものが各地の淡水域に定着し、1995年ごろから個体数が急増しています。雑食性でなんでも食べて大きく育つことから、在来の生き物との競合が懸念されるほか、漁獲物の横取りや、ひれの鋭いトゲによる漁業者のケガなど、人間活動への影響も無視できません。

こうした影響を鑑み、本種は2005年には特定外来生物、2018年には緊急対策外来種に指定されています。アメリカナマズを生きたまま保管・運搬・放流することが法律で禁止されているほか、本種の侵入が確認された水系では、防除も含めた適切な対策をとる必要があります。

これまで、国内12水系で捕獲記録があるアメリカナマズですが、各々の水系における個体数や細かな分布域は分かっていません。また、発見された水系以外にも定着している可能性もあり、全国規模でのさらなる調査が必要です。

 

アメリカナマズに対するバイオームの取り組み

現在バイオームは国立環境研究所 琵琶湖分室へスマートフォンアプリ「Biome」を提供し、全国を対象とした外来魚のアメリカナマズ(チャネルキャットフィッシュ)の市民参加型分布調査を3月8日(月)より実施しています。

収集されたデータは、国立環境研究所琵琶湖分室の実施する研究プロジェクト「市民科学手法を活用した外来魚アメリカナマズの侵入前線検出」において、アメリカナマズの分布把握や効果的な管理手法の検討・開発に活用されます。

 

⇓詳細はこちらから⇓

【国立環境研究所×Biome】スマホアプリを用いた外来魚「アメリカナマズ」の全国調査を実施

 

滋賀県瀬田川における弊社スタッフの調査

この調査を活性化するにあたり、弊社スタッフが実際にアメリカナマズの侵入を調査してまいりました。

場所は滋賀県の「瀬田川」という一級河川で、琵琶湖から流れ出る唯一の河川です。

Bakkai, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

 

ここから宇治川、淀川へとつながり、大阪湾へ流れ着きます。日本三大名橋の「瀬田の唐橋(からはし)」が架かり、古来より存在する歴史の深い河川ですが、近年アメリカナマズの捕獲や目撃が急増しております。

 

瀬田川上流での初めて確認できたのは2014年。しかしここ数年で一気に急増し、2019年には生後2年目とみられる幼魚が大量に捕獲され、着実に繁殖していることがわかりました。上流には琵琶湖までの障壁がなく、侵入による漁業や生態系への影響が強く懸念されます。(外来ナマズ」琵琶湖で拡大?新たな脅威の外来魚に、滋賀県が駆除強化, 京都新聞, 2020年12月15日

 

検証方法

アメリカナマズの活動が活性化する夕方~夜間にかけ約2時間ほど、釣獲とタモ網による調査で検証しました。また今回はアメリカナマズだけでなく、ほかの外来生物の生息も同時に調査しました。

 

結果

釣獲調査

調査開始1時間後ほど経過したころ、全長約30 cmの大きなギギを捕獲することができました。

【ギギ】上あごが突き出ていたり、ヒゲが8本あったりと、アメリカナマズと似た特徴を持っていますが、れっきとした在来種です。全長は最大で30cmほどと、アメリカナマズの成魚ほど大きくなりません。骨を擦りあわせて「ギー」と音を出すことから名づけられました。背びれと胸びれに鋭い棘があります。

 

こちらのギギですが全長約30 cmととても大きく、我々スタッフ一同もはじめは「アメリカナマズなのでは?」と思っておりました。

しかし、いくつか見分けるポイントがあります。

 

同定ポイント

      1. ギギは体色が全体的に黄土色〜褐色
      2. 全長30cm前後のギギの場合、まだら模様はあるが黒斑はなし
        (同サイズのアメリカナマズだと腹側が銀色っぽく、黒い斑点が散らばる)

 

(photo by ばカイリメインチャンネル 公式)

 

大きいギギと小さめのアメリカナマズの判別はかなり難しいですが、今回の調査結果でそれがわかりやすく示すことができました。

こちらの資料も併せてご参考にしていただけると幸いです。

提供:国立環境研究所 琵琶湖分室

 

釣獲調査ではほかに、ニゴイブルーギルを捕獲することができました。

 

ニゴイは在来種ですが、ブルーギルは特定外来生物として琵琶湖・瀬田川のみならず全国で非常に問題になっています。

今回の調査でも例に漏れず発見することができました。

 

タモ網調査

タモ網による調査では、ブルーギルの幼魚オオクチバス(ブラックバス)の幼魚アメリカザリガニを捕獲・同定することができました。

 

いずれも特定外来生物、緊急対策外来種に指定されている生き物です。幼魚の確認により、この流域で繁殖が行われていることが推察されます。

なお、今回のタモ網調査では在来種の魚類・甲殻類を確認することはできませんでした。

 

またタモ網調査の際、こちらの比較的大きめの貝の貝を捕獲することができました。ですが残念ながら決定的な種同定はできませんでした。

 

大きさから推測すると、オオタニシかスクミリンゴガイの可能性が考えられます。

スクミリンゴガイ(通称:ジャンボタニシ)」は南アメリカ原産で、関東以南に分布する要注意外来生物です。事実、瀬田川や琵琶湖においてスクミリンゴガイの分布拡大しており、農作物の被害が多発しています。今回の調査では種同定までは至りませんでしたが、今後注目すべき生き物であることには間違いありません。(農作物の被害多発 スクミリンゴガイ、琵琶湖岸でも分布拡大 増殖速く個人の対策では限界 /滋賀, 毎日新聞, 2020年10月10日

 

まとめ

今回の調査では、ギギ1匹、ニゴイ3匹、ブルーギル4匹(幼魚含む)、ブラックバス1匹、アメリカザリガニ1匹、貝2匹を確認することができました。当初の目的であったアメリカナマズを捕獲することはできませんでした。

しかし全長約30 cmのギギが瀬田川にいるという、貴重な発見をすることができました。ギギは近年瀬田川においてかなり減少傾向であり、今回の発見が瀬田川の豊かな水質・生態の指標になりうるのではないかと考えております。

一方、そんな豊かな環境が残る瀬田川においても、外来生物の侵入がかなり進んでしまっているという現実を目の当たりにし、スタッフ一同更なる危機感を感じざるを得ませんでした。

今回はアメリカナマズを確認することを目的に調査を進めましたが、今後はより幅広い外来種を調査するのも興味深いかもしれません。

 

アメリカナマズ調査に是非ご協力お願いします!

国立環境研究所とバイオームでは引き続き、全国を対象とした外来魚のアメリカナマズ(チャネルキャットフィッシュ)の市民参加型分布調査を実施しています。

広範囲の調査が必要とされるアメリカナマズにおいて、より多くの方が協力いただくことにより、効果的な調査となることが期待されます。またアメリカナマズのみならず、似た種のナマズ(在来種)やギギの分布データも大きな意味を持つものになります。

 

湖・河川の豊かな生態系を守るため、引き続きご協力をよろしくお願いします!

 

※ご注意

※1:アメリカナマズをはじめとする外来魚を生きたまま移動させることは、外来生物法で禁止されています。環境省のガイドラインに基づく然るべき対処を実施の上で、お持ち帰り等お願い致します。

⇓詳細はこちらから⇓

外来生物法-生きたままの外来生物の取り扱いにご注意ください-

※2:アメリカナマズは骨が非常に硬く、ヒレにも鋭いトゲがあります。捌く際には十分お気を付けください。

※3:新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、3密の回避並びに緊急事態宣言発令(2021年5月現在)地域におきましては不要不急の外出は自粛していただくよう、何卒ご協力をよろしくお願い致します。