日本最大のクモ
日本最大のクモであるオオジョロウグモのメスは、ジョロウグモと同様にたくさんの同居人とともに暮らしています。大きな体にふさわしく、心も大きいようです。
オオジョロウグモとは?
オオジョロウグモ Nephila pilipes は東南アジア、東アジア、オセアニアに分布するジョロウグモの仲間です。国内では奄美大島以南に生息し、日本に生息するクモの中で最大の種です。メスの体長は3.5 – 5cmほどになり、脚も含めると20cmほどになるものもいます。巣も1 – 1.5mほどの大型のものを作ります。一方で、オスの体長は0.7 – 1.0cmほどです。本州のジョロウグモが人家近くでも普通にみられるように、オオジョロウグモも森林だけではなく、公園や神社といった人為活動がある場所で普通にみられます。
オオジョロウグモの巣にシロカネイソウロウグモ
オオジョロウグモの巣に、銀色の小さなクモがいることに気が付きました。シロカネイソウロウグモという、別種のクモでした。
シロカネイソウロウグモ Argyrodes bonadeaは、本州から南西諸島に分布します。大きさは、2 – 3.5mmほどです。草原や林道、樹林内に加え、都市部にも生息します。名前にイソウロウとついているように、他の種のクモの巣に居候し、食べ残しや巣の主が見向きもしないような小さな昆虫を食べます。シロカネイソウロウグモは、ジョロウグモ科にだけでなく、同様に大型の巣を張るオニグモやコガネグモなどが含まれるコガネグモ科のクモにも居候します。
複数匹のシロカネイソウロウグモが一つの巣に居候していることも珍しくないようです。オオジョロウグモのサイズに対して、シロカネイソウロウグモは非常に小さく、近くで動き回っていてもオオジョロウグモも我関せずでした。
実際、小さなシロカネイソウロウグモが食べる餌の量もほんの少しと考えられるため、オオジョロウグモにはそれほど大きな損失はないのかもしれません。
メスに対して非常に小さなオス
オオジョロウグモの巣にも、ジョロウグモと同様に複数のオスが同居しています。ジョロウグモですら、オスがメスよりずいぶん小さいのですが、
オオジョロウグモはそれにもまして極端なサイズ差があります。
しかも、色もメスと全く異なり、もはや同じ種には見えません。
オスがメスに比べて小さい理由について、体が小さいほうがメスの捕食を免れやすいといった仮説や、小さいオスの方が移動しやすくメスを探すのに有利だからといった仮説があります。