スローライフカブトガニ
2025年2月11日
生物

前回はカブトガニの系統的位置をメインにお話ししましたが、今回はその生態についてご紹介します。
カブトガニは、どこにいるの?
カブトガニ Tachypleus tridentatus は国内では、瀬戸内海と九州北部に生息し、国外では、台湾、中国、フィリピン、ボルネオ、インドネシアに分布します。
大人になるまでに15年

カブトガニ Photo by Oyamadius
カブトガニは、7月から8月ごろの大潮の満潮時に浜辺の波打ち際で産卵します。卵からは、6週間後に6ミリほどの大きさの三葉虫に似た幼生が孵化します。生まれてから1, 2年はプランクトンなどを食べ、3年目以降はゴカイなどの環形動物や貝類、海藻などを食べます。幼生はおよそ1年に一回脱皮し、15年かけて計18回脱皮して成体になります。寿命は25年くらいであると考えられています。成体になると沖合で過ごし、産卵のときには浅瀬に移動します。
ほとんど眠っているカブトガニ

カブトガニ Photo by Daiju Azuma, CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons
1年のうち活動するのは、6月から9月のおよそ3ヶ月であり、残りの9ヶ月は沖合の泥の中で休眠します。またその活動期間の間も一日のうち9割の時間は休んでいます。生活も成長も進化もすべてのんびりしているようです。
絶滅の危機にあるカブトガニ

カブトガニの脱皮殻 Photo by カブトガニの人
砂浜で生まれ、干潟で育つカブトガニは、砂浜と広大な干潟が残っている環境が必要です。日本では、そのような環境が減少しているため、カブトガニの生息場所も限られるようになってきました。本種は国際自然保護連合(IUCN)で絶滅危惧種に指定されています。