ウミウシやらアメフラシやら

アメフラシとウミウシ、同じような感じの生き物です。何が違うのでしょう。
ウミウシとアメフラシの系統的位置

ウミウシの一種 Photo byChad Ordelheide, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
広義には、ウミウシは軟体動物門腹足綱(巻貝の仲間)に属する後鰓類(こうさいるい)のうち、貝殻を持たないか目立たないものを指します。狭義には、このグループのうち、アメフラシを除くものをウミウシと呼び、ウミウシというとこちらを指すことが多いです。近年は後鰓類の単系統性は否定されており、ウミウシ類もまた多系統の分類群であると考えられています。
アメフラシは、ウミウシのなかの無楯類(むじゅんるい)を指します(狭義にはアメフラシ Aplysia kurodai)。無楯類については単系統性が支持されています。
ウミウシとアメフラシの特徴
ウミウシは単系統ではありませんし、アメフラシはウミウシが含まれる系統の一部に属するものを指しますが、それぞれのグループに属する種は似た特徴を有する傾向があります。
ウミウシ

ウミウシの一種
ウミウシは多くの種が体長1〜3cm程度と小型で、アメフラシよりもかなり小さいのが一般的です。彼らの多くは肉食性で、クラゲやイソギンチャクといった刺胞動物のほか、海綿動物、ホヤ、さらには魚の卵を食べる種もいます。寿命は一般に1年程度とされますが、短命なものでは1年未満、長寿の種では3年ほど生きるものもいます。非常にカラフルかつ鮮やかな模様を持つものが多いです。多くの種に背中にはイソギンチャクのような器官があり、これは「二次鰓(にじさい)」と呼ばれる呼吸器官で、水中の酸素を取り込む役割を果たしています。さらに、この二次鰓の中心部には肛門があります。

ウミウシの卵
ウミウシの卵は、一般にリボン状に長く連なった形をしているのも特徴です。
アメフラシ

アメフラシの一種 Photo byFfish.asia, CC0, via Wikimedia Commons
日本沿岸で見られるアメフラシは、体長15cm前後の種が多いです。なかには30cmに達するものもいます。草食性で、主に海藻などを食べて生活しており、寿命はおおよそ1〜2年です。外敵に襲われたり刺激を受けたりすると、紫色や赤色の液体を分泌して敵の視界を遮り、防御手段とする特徴があります。この様子がまるで雨雲を発生させるかのように見えるため、「アメフラシ(雨降らし)」という和名がつけられたという考えられています。体色は地味で落ち着いた色合いが多く、背中には大きなヒダがあります。

アメフラシの一種の卵塊AndyT, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
卵は中華麺のように複雑に絡み合った形で産みつけられます。