ザクロって独特だよね。
ザクロの実は、他の果実と比べて見た目も味もちょっと独特です。系統的な分類も、他の多くの日本でよく見る果物とは異なります。
ザクロとは?
ザクロ Punica granatumは、フトモモ目ミソハギ科ザクロ属の落葉樹です。樹高は5mから12mほどになり、寿命は200年ほどもあります。ザクロ属の植物は、本種とイエメンのソコトラ島にあるソコトザクロ Punica protopunica の二種のみです。ミソハギ科の植物は、熱帯から亜寒帯に広く分布し、日本には7属十数種が自生します。身近な種としては、ミソハギ属のミソハギ Lythrum anceps や、サルスベリ属のサルスベリ、水草であるヒシ属のヒシが含まれます。
古代から栽培されるザクロ
原産地は西南アジアや中東と考えられていますが、諸説あるようです。乾燥した丘陵地に自生していたと考えられています。ザクロは紀元前3000年頃から紀元前30年まで栄えた古代エジプトや、紀元前500年ごろに栄えた古代ギリシャの文書にも記述が見られ、古代から栽培されていたと考えられます。中国へは紀元前2世紀から3世紀頃に伝わり、日本には平安時代に中国から伝わったと考えられています。日本国内では東北地方南部から沖縄で栽培することが可能です。
ザクロの花
秋に大きな赤い実をつけ食用になるザクロの実は多くの人によく知られている一方で、花はあまり知られていないかもしれません。花は6月頃に咲きます。肉厚な硬い萼の内側に赤朱色の花弁のある花をつけます。クマバチやミツバチが訪花することが観察されています。
果実を守るザクロの萼
花弁が落ちたあとも肉厚な萼は残り、花のように目立ちます。この萼は、先端では6つの切れ込みがありますが、根本は筒状になっており果実はその中で成長します。果実が熟して萼に切れ込みが入るまでは、この硬い萼によって果実は守られます。硬い萼が種子を守る構造は、同じミソハギ科であるヒシの種子にもみられます。