ナスタチウムは実はクレソンの属名
エディブルフラワーとして知らせるナスタチウムは、殺風景になった冬の庭で、霜が降りる直前まできれいな花を咲かせます。本種には日本で使われている名前が3つもあります。
この記事の目次
いわゆるナスタチウムとは?
いわゆるナスタチウム Tropaeolum majus は、ノウゼンハレンやキンレンカという和名を持つノウゼンハレン科ノウゼンハレン属の一年草です。原産地はペルー、コロンビア、ブラジルです。熱帯原産ですが、標高の高い場所に生育するため暑さは苦手です。耐寒性もそれほど強くないため、冬季に霜が降りる地域では野外で越冬することはほとんどありません。5月から花を咲かせますが、花期は長く、近畿地方では12月初旬頃まで咲くことがあります。観賞用だけでなく食用に栽培され、花や葉がサラダの彩りに使われます。
3つもある名前の由来
まず、ノウゼンハレンとキンレンカという名前には、どちらも「レン」という語が入っていますが、これは、葉が蓮に似ていることが由来になっています。
ノウゼンハレン(凌霄葉蓮)のノウゼンは、ノウゼンカズラに花が似ていることからつけられました。
一方、キンレンカ(金蓮花)の名は、オレンジや黄色の鮮やかな花を咲かせることからキン(金)が名前に入れられたようです。キンランやキンミズヒキのように黄色やオレンジの花を咲かせる植物の名に、キン(金)が入れられることは珍しくありません。
ナスタチウムという名前は、Nasturtiumという英名を読んだものです。Nasturtiumは、オランダガラシ属の属名です。ノウゼンハレンがオランダガラシ Nasturtium officinale(クレソン)に似た味であるために、そのように呼ばれるようになったようです。
オランダガラシはアブラナ科オランダガラシ属に属しノウゼンハレンとは全く異なる分類群に属します。