2026年4月8日

どんなとこでもアフリカマイマイ

アフリカマイマイは、世界最大級のカタツムリです。世界中の熱帯から温帯に移入し、日本でも南西諸島や小笠原諸島でみられます。今回は、アフリカマイマイの外来種としての問題についてのお話です。

世界中に移入分布するアフリカマイマイ

アフリカマイマイ

アフリカマイマイは東アフリカのモザンビーク付近のサバンナ地帯が原産ですが、1760年頃からマダガスカル、1800年頃からモーリシャスに侵入し、インド、東南アジア、中国南部、台湾、ハワイなど、世界の亜熱帯から温帯地域に広く移入分布しています。

日本には、1932年にシンガポールから台湾に持ち込まれた12匹を起源とする個体が沖縄に持ち込まれ、1945年以降野外でもみられるようになりました。戦後直後の沖縄で、アフリカマイマイは重要なタンパク源になりましたが、その後食べられなくなり、爆発的に野外で数を増やしました。1985年頃から防除剤による定期的な駆除が行われるようになり、個体数は減少しましたが、根絶には至っていません。沖縄本島だけでなく、奄美大島、徳之島、宮古島、石垣島などの南西諸島の島々や、小笠原諸島にも定着しています。また、2007年には、鹿児島県でも計130個体が見つかり駆除されました。アフリカマイマイは低温に弱いため、奄美より北の地域では定着できないとされてきましたが、九州での定着が危惧されています。

アフリカマイマイによる寄生虫の媒介

アフリカマイマイ

広東住血線虫は、中間宿主を貝類やナメクジ類、終宿主をネズミとする寄生虫で、太平洋諸島、東南アジア、アフリカ、インド、北米などに広く分布します。ヒトには、貝類・ナメクジ類を通して感染することがあります。野菜に付着している小さなカタツムリやナメクジを気づかずに食べてしまい感染するだけでなく、這った跡の粘液からも感染することがあります。ヒトが感染すると、好酸球性髄膜脳炎を起こし、昏睡や死亡に至ることがあります。日本では、1970年にはじめて好酸球性髄膜脳炎が報告されて以降、54例(うち35例が沖縄)報告されており、2000年には7歳の子供の死亡例もあります。アフリカマイマイは、この広東住血線虫の感染率が高いことが知られており、アフリカマイマイが生息する沖縄ではヒトへの主要な感染経路となっていると考えられています。

アフリカマイマイが移入先の生態系に及ぼす影響

ヤマヒタチオビ Photo by Dylan Parker, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

アフリカマイマイは移入先で多くの植物を食べ、特に海洋島では固有種の植物を絶滅させるほどに食べ尽くす問題を起こしています。これにより、植物がなくなるだけでなく、それらを食べていた陸生貝類の餌資源も枯渇します。

さらに、アフリカマイマイを駆除するために導入した肉食性のヤマヒタチオビ Euglandina rosea による被害も深刻です。ハワイやタヒチ、日本の小笠原諸島父島では、本種を導入しました。ところが、ヤマヒタチオビはアフリカマイマイよりも食べやすい各島の固有種の陸生貝を捕食してしまい、多くの固有種が絶滅しました。ある種を駆除するために外来種を導入し、生態系に甚大な悪影響を与えた例として、ハブを駆除するために導入したマングースの問題が有名ですが、アフリカマイマイに関しても同様の問題が起きているようです。