5周年ありがとう!!

2024年4月26日 ALL生物

「いきものコレクションアプリ『Biome(バイオーム)』」は、2024年4月26日にリリースから5周年を迎えました。ユーザーの皆さまには日頃よりご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。

アプリBiomeは、いきものの分布情報を収集し、生物多様性の保全に役立てることを目的に開発されました。2024年4月現在、93万ダウンロードを突破し、総投稿数は670万件に達しています。

この記事では、アプリや、この5年間にユーザーの皆さまの手で集められた貴重なデータが、どのような形で生物多様性の保全に活かされているかをご紹介させていただきます。

あなたの投稿から「生物多様性マップ」ができるまで

Biomeのデータベースには、ユーザーの皆さまが見つけたいきものを投稿することによって、「いつ」「どこに」「どんないきものが」いたというデータがリアルタイムで記録されます。

下の図①は、アプリのリリースから現在までの全国の投稿を地図に表示したものです。ひとつひとつの点が、各投稿を表します(※公開範囲を「すべてのユーザー」、地点の表示をONに設定している投稿のみ)。


図① Biomeの投稿の位置を表す地図

バイオーム社では、図①のような形で集まったデータに対して、まず種名の誤りや飼育個体かどうかなどをチェックする「データクリーニング」の作業を行います。さらにデータの偏りを補正したり研究機関などが公開しているデータと組み合わせながら、生物各種がどのように分布しているかを推定し、図②のような独自の「生物多様性マップ」を作成しています。


図② データ解析によって出力した近畿地方の鳥類の生物多様性マップ

この図では、赤い部分に多様な鳥類がいる可能性が高いことを示しています。

こうした情報は、生物多様性にとって重要な場所はどこか?保全をするためにどういったアクションをおこなっていくとよいか?といったことを考える上できわめて重要です。生物多様性保全を推し進めるための強力なツールの一つとして、これまで数多くの自治体や企業に活用されてきました。

これほどの高解像度・高精度で、しかも日々更新されるリアルタイムのデータをもとにした生物多様性の見える化ができるようになったのは、ひとえにユーザーの皆さまのおかげです。

広がるBiomeの輪

「2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復に転じさせる」

今、「ネイチャーポジティブ」と呼ばれるこのゴールに向かって、国連を中心に世界中の国々が動き出しています。

日本では、2030年までのネイチャーポジティブ実現に向けた生物多様性国家戦略が昨年3月に閣議決定され、全国の自治体も、それぞれの地域における生物多様性保全のための取り組みを加速させています。

こうした気運の中、アプリBiomeはスマホさえあれば、いつでもどこでも生物調査に参加することができるツールとして、様々な場所で活用されています。

環境省×Biome 気候変動いきもの大調査

環境省と2022年度まで3年間にわたり行った「気候変動いきもの大調査」では、地球温暖化の影響で分布などが変化していると考えられる生物を対象に全国的な調査を行いました。その結果、ツマグロヒョウモンやナガサキアゲハなど、もともと南方に生息していた昆虫たちがその分布をどんどん北に広げているということ、また逆に、コハクチョウなど、かつては越冬のため本州に渡ってきていた渡り鳥が北海道でも越冬するようになっていることなど、地球温暖化に伴っていきものたちのくらしに変化が生じていることが、皆さまから寄せられたビッグデータから明らかになりました。

令和4年度 気候変動いきもの大調査 結果報告!

東京都×Biome 東京いきもの調査団

東京都は1,400万人が暮らす日本最大の都市でありながら、奥多摩の山地から丘陵地の里山、市街地の緑地や水辺、島しょ部の固有の生態系など、多様で豊かな自然を有しています。昨年始動した「東京いきもの調査団」は、東京都・都民・専門家が一体となり、都内に生息・生育するあらゆる動植物の情報を集めることで、リアルタイム性と網羅性を兼ね備えた野生生物目録を作り上げる一大プロジェクトです。昨年に続き今年もクエストの開催が予定されており、昨年同様、都民以外の方も挑戦可能です。ぜひあなたも「みんなで作る野生生物目録」プロジェクトに参加してみませんか?

首都圏 NEWS WEB 都内生物 スマホアプリ使い生息状況を把握 生物多様性保全へ

神戸市×Biome 市内の外来生物調査

古くから港町として栄える神戸市は、貨物に紛れて移入してくる外来生物のリスクが高い場所でもあります。なかでも、樹木を枯らしてしまう困りもの、ツヤハダゴマカミキリとクビアカツヤカミキリは、それぞれ2021年と2022年に神戸市内では初めて確認され、その動向が注視されています。これ以上の分布拡大を防ぐため、神戸市では広く市民にその目撃情報の提供を呼びかけるとともに、Biomeのクエストを用いた市民参加型の調査が行われています。

【神戸市】市民参加型イベント スマホアプリで撮って生物調査 AI判定で日本の固有種を救え

スマホアプリを使った神戸の生きもの調査結果発表!

ここまでご紹介してきたように、アプリや生物のビッグデータは生物多様性の保全を推し進める上でとても大きな力をもっています。これからも私たちは、皆さまから寄せられた貴重なデータを活かして、ネイチャーポジティブの達成に貢献してまいります。

また、保全に貢献することはもちろん重要ですが、皆さまが共有してくださる“いきもの”の純粋な面白さ、生態系の素晴らしさを最大限に表現し、いきもの好きコミュニティの輪を広げていくことも私たちの重要な役割と考えています。皆さまによりよい体験をご提供できるよう、機能開発や改善、サービス運営に引き続き全力で取り組んでまいります。

今後ともアプリBiomeを、何卒よろしくお願い申し上げます。