2025年12月29日

身近ないきものから、世界へ:Biomeで広がるネイチャーポジティブの輪

「生物多様性の保全を社会の当然に」
そのためには、多くの人々が生きものに目を向け、知り、親しむこと。それから、「どこに」「どんな」いきものが暮らしているのかという基盤情報を整備することが必要です。

アプリ「Biome(バイオーム)」は、みんなのいきものとの出会いを記録することで、そんな社会を目指すアプリです。

リリース以来、多くの方にご利用をいただき、2025年12月現在では、

  • 累計ダウンロード数:1,233,051
  • 生物情報データ: 10,489,083件
  • 投稿された種数:51,235種

を突破しました。

この数字は、ユーザーの皆さんのいきものとの一期一会を日々投稿してくださったおかげです。皆さんの投稿は日本全国を網羅する生物多様性ビッグデータとなり、さまざまなネイチャーポジティブな取り組みに行かされています。

自治体との協働で広がる、生物多様保全の輪

東京都内のいきものを一斉調査

バイオームは東京都との協定のもと、2023年度から東京都内に生息・生育する動植物を記録・公開するデジタル版野生生物目録「東京いきもの台帳」の作成に取り組んでいます。その一環として、市民参加型プロジェクト「東京いきもの調査団」が発足し、年間を通じてクエストを実施しています。

◾️東京いきもの台帳
2025年12月16日には、過去から現在までに収集された野生の植物標本をまとめた「植物目録」を公開しました。今後、バイオームの投稿データも専門家による精査を経て、東京都の野生生物目録に掲載される予定です。
台帳はこちら:https://www.inventory.ikimono.metro.tokyo.lg.jp/

◾️東京いきもの調査団
夏と秋に大型クエストを実施。夏編では、約8万件もの投稿が集まりました。さらに2026年2月まで、鳥類と外来種クエストが開催中ですので、都内の方はぜひご参加ください。
投稿結果:https://www.ikimono.metro.tokyo.lg.jp/summary-2025-summer/

各地で広がる、市民参加型の「いきもの図鑑」作り

バイオームは、各自治体と連携し、市民の皆さんが参加できるいきもの調査(クエスト)を行っています。集められたデータは地域の「いきもの図鑑」として公開され、いち早く外来種の侵入に気がつくヒントになったり、希少種の生息状況の把握につながるなど、地域の生物多様性を理解するために役立っています。

調査結果の一例:
「みんなで見つけた!かわさきの生き物図鑑」
https://kawasakicity100.jp/actions/actions-3856/
「あだち生きもの図鑑」をつくろう!
https://www.city.adachi.tokyo.jp/pickup/biome.html
「おかざき生きもの図鑑」
https://www.city.okazaki.lg.jp/1100/1108/1155/p041341_d/fil/okazakiikimonozukan0123.pdf

「生物多様性重要エリアマップ」へのデータ活用

名古屋市では、開発や工事を行う際に、該当の場所に希少な種が生息していないかなどを確認するため、市内の重要な「特に重要なエリア」を可視化した「生物多様性重要エリアマップ」を作成しています。

マップについて:
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/kankyou/1012463/1034789/1012523.html

バイオームは2023年から名古屋市と連携し、「なごやいきものクエスト」を実施してきました。クエストで集まったデータを専門家のチェックを経たうえでご提供することで、「生物多様性重要エリアマップ」の作成に貢献しました。

研究プロジェクトでの取り組み

生物多様性の保全の輪を広げるため、バイオームでは教育機関と連携した取り組みも進めています。ここでは、バイオームが参画している「内閣府戦略的イノベーションプログラム(SIP)」の一環である「いなべネイチャー」をご紹介します。

「いなべネイチャー」は、三重県いなべ市の協力のもと、京都産業大学と共同で実施している取り組みです。いなべ市にはみどりを活かした商業施設やキャンプ場が多くあり、生物多様性のポテンシャルが高い地域です。その中で「生物多様性の可視化」が市民や来訪者の皆さんにとってどのようなポジティブな効果をもたらすのかを検証しています。

アプリ「Biome」において、いなべ市のいきものを調べる「イナッチュクエスト」を年間を通じて実施。市民の皆さんが気軽にいきもの調査に参加できる機会をご提供するとともに、現地でのリアルイベントを通じていきもの探しの魅力を伝えてきました。観測データをもとに、市内の生物分布のポテンシャルマップを作成しています。さらに、調査結果や解析結果をいなべ市の賑わい創出につなげられるのか、日々試行錯誤しています。

いなべネイチャー
https://inabe-nature.com/

企業における、ネイチャーポジティブ経営のサポート

自然環境への配慮は、企業活動においても重要なテーマの一つ。バイオームは、企業の皆さまと連携しながら、ネイチャーポジティブ実現に向けご支援も行っています。

東急株式会社の「TNFD提言に基づく情報開示」(2025年9月)を全面的にご支援しました。(TNFD :事業自然資本への依存・影響や、そこから生じるリスク・機会を評価し、一般に情報を開示する仕組み)Biomeで集まったデ-タを活用し、主要な4事業(交通・不動産・ホテル・リゾート・生活サービス事業)に関わる648拠点に対して自然資本のポテンシャルを評価し、取り組むべき地域や対応策を整理しました。

「いきものを観察する視点」を表現:大阪・関西万博

大阪・関西万博では、アプリユーザーの皆さんが日々投稿してくださった投稿データをもとに、「いきもの好きの人には、どのように世界が見えているか」を、展示作品で表現しました。

生物多様性超シナプス:https://shojikawamori.jp/expo2025/contents/synapse/

※バイオームは、大阪・関西万博の河森正治プロデューサーのパビリオン「いのちめぐる冒険」へサプライヤーとして協賛しました。

海外の生物多様性に向けて:ボリビアでの環境教育プログラム開発

バイオームは、ボリビアの環境NGO ガイア・パチャ財団(Fundación Gaia Pacha)と協働し、アプリ「Biome」を活用した環境教育プログラムの開発と実施を推進しています。今年は、2度の渡航と継続的な議論を行ってきました。

このプログラムは「いきもの探しを楽しむ」ことを通じて、いきものの生息する自然環境への関心を高め、水質改善への理解を深めると共に、地域の生物情報の収集を行うことを目的としています。

今年10〜11月には、市内7校の生徒140名以上を対象にワークショップが行われ、参加生徒の水資源に対する認識が「利用目的」から「生態学的価値」へと変容し、高い教育効果が得られる結果となりました。

またボリビア コチャバンバ県庁を訪問し、コチャバンバの県知事をはじめとする関係者の皆さんや教育関係者の方々にも広く知られることとなり、地元テレビによる取材等を通して地域住民の方々にも伝えられています。

さらに、サン・シモン大学では、バイオームが提供するカメラトラップを用いた調査を行い、ラーテルやヤマネコなど複数の動物を確認することができました。

中には初めて記録される個体もあり、これらのデータは研究論文に留まらず政策提言という形で保全の推進につながっています。

研究の様子:
https://www.facebook.com/watch/?v=2002686006975962&rdid=dsWZKMzQCpcK32LU

このように、リアルタイムで集まる皆さんの投稿一つひとつは、ネイチャーポジティブに役立つ貴重な情報の一部となっています。

皆さんは今年、どんないきものの発見がありましたか。
いきものにはそれぞれに個性があり、まだ分かっていないことも多くあります。またその未知さが、魅力の一つなのかもしれません。

昆虫が好き、鳥が好き、花が好き、など、皆さんのいろいろな「好き」に寄り添いながら、いきものを通した緩やかなつながりを広げていけたらと思います。