アリに擬態して身を守る生き物たち

2019年1月26日 ALL生物

アリは、大きな顎をもち、種によっては複数匹で、地上や樹上にいる虫たちを襲い、自分の巣に持ち帰ります。私が、もしスモールライトで小さくなったら、一番恐ろしいのはこのアリに襲われることじゃないかと思います。またアリは自身が襲われると蟻酸を出して、対抗します。小さな捕食性の虫、あるいは鳥にとっても、アリは、あまり好ましい獲物ではないようです。そのようなアリに姿かたちを似せることによって、身を守る生き物たちがいます。今回は、そんな嫌われ者のアリに擬態した生き物たちについてです。

アリグモ

アリグモとは、ハエトリグモ科アリグモ属に属するクモで世界で約280種知られています。ロシアから東南アジアまで、アリグモの仲間は広域に分布するようですが、熱帯地域で多くの種が生息しているようです。日本では、6種知られています。赤いアリグモもいるようですが、よく見かけるアリグモは、たいてい黒光りをした真っ黒のクモです。歩き方も、アリのようにトコトコと歩くので、よく見ないと気づきません。見つけるコツは、他にアリがいないのに、一匹だけ歩いているアリっぽい生き物をよく観察してみることです。アリである場合は、よく仲間のアリも近くにいることが多いですが、アリグモは単独行動なので、ほとんどの場合は一匹で行動しています。また、自転車のハンドルなど、アリが普段こんなところには登って来ないだろうというようなところにも、アリグモは登って来たりします。私は、家の中でアリグモを見つけることが多いです。家の中で大きなアリを見かけることはめったにないので、アリのような生き物が歩いていると高確率でアリグモです。野外で見かけても、アリだと思ってしまうため、なかなか気が付きません。普通に歩いていると、アリに見えるアリグモですが、ちょっと驚かせるとすぐに本性がでます。クモのように、ピョンと飛びながら逃げるのです。この行動が、見られたら、アリグモ確定です。

ボルネオ島でもアリグモらしきクモが家の中を歩いていました。

ボルネオのアリグモ

ボルネオのアリグモ?

アリグモ

やはり黒い光沢があります。

 

アリに擬態するカマキリ

アリに擬態したカマキリ

カマキリもアリに擬態するようです。ボルネオの森林で別の虫を見ているときに偶然見つけました。黒くて小さいため、全く目立ちません。しかも、頭上でなにかが動くと非常に敏感に反応し、すぐに葉の後ろに隠れてしまいました。しかし、横、もしくは、下から観察していると、落ち着いて自慢のカマの手入れを始めました。

アリに擬態したカマキリ

アリに擬態したカマキリ

ちなみに、歩き方は、全然アリに見えず、仕草もバッチリカマキリだったため、動いていればカマキリだとすぐに気気づきます。しかし、じっとしていると、アリの姿によく似ています。アリに擬態して、捕食を免れているのかも知れません。