帰化植物ってなに?
「帰化植物」という言葉をご存知でしょうか?
「外来植物」とほぼ同じ意味で、もともと日本にいなかった植物が何らかの形で持ち込まれ、野生に定着してしまったものを指します。
実は、道端に生えている雑草はかなりの割合が帰化植物で占められています。
皆さんご存知のヒメジョオンやオオイヌノフグリも、最近になって海外から侵入した植物です。
場所にもよりますが、生えている種数のうち半分以上が帰化植物なんてことも珍しくありません。
皆さんが街で普段見かける植物も、実は日本古来のものではないかもしれません。
善し悪しは別として、帰化植物は生態系を語るうえでもはや無視することのできない構成要因となっているのです。
珍しい帰化植物たち
皆様は、「外来植物」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。
一面を覆いつくすセイタカアワダチソウやアレチウリ、花粉症の原因となるブタクサなど、「凶悪な」種を思い浮かべる方が多いのではないかと思います。
このように、外来種というと「在来種より強い」「侵入するとあっという間に広がる」といったイメージがあります。
しかし、実はそうした種は全体からみるとほんの一部分だけ。
ほとんどの種は、国内に持ち込まれても野外で繁殖できずに消えてしまったり、繁殖できてもそこから数が増えずにレアなままだったりします。
そんな「珍しい」帰化植物たちをいくつかご紹介しましょう。
帰化植物は謎だらけ
そんな帰化植物ですが、実は分かっていないことがたくさんあります。
たとえば分布。身近な種でも、国内のどの地域で見られるのか正確に分かっていない種ばかりです。
図鑑を見ても、国内の植物であれば細かい分布情報が載っていたりしますが、帰化植物に関しては「~原産」としか書かれていないことがほとんど。
さらに、国内初となる侵入記録も毎年のように発表されています。愛好家の数もまだまだ多くないため、皆さんにも大発見のチャンスが十分にあるのです。
侵入や拡散を防ぐために分布情報を集めることは非常に重要ですし、また単純に生き物として魅力的な植物もたくさんあります。
・どういった経路で侵入したのだろう?
・どのような環境で広がりやすいのだろう?
・なぜそのような環境を好むのだろう?
など、さらに深く考えてみるともっと面白いかもしれません。
もう一つ、帰化植物のいいところは、身近であることです。今はなかなか遠くに出かけることが難しい状況ですが、雑草であれば家から少し歩くだけですぐに観察することができます。そんなすぐそばに生えているものであっても、案外よく分かっていないことが多かったりするのです。
身近で不思議な帰化植物、皆さんもぜひ探してみてくださいね。
面白そうな植物を見つけたら、アプリ「Biome」にもぜひご投稿を!
***帰化植物についてもっと知りたいという方は、下記の文献が参考になります。どれも帰化植物愛好家必携です。ぜひチェックしてみてください。***
【参考文献】
近田文弘・清水建美・濱崎恭美 2006. 帰化植物を楽しむ. トンボ出版.
清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七 2001. 日本帰化植物写真図鑑. 全国農村教育協会.
植村修二 2012. 帰化植物とつきあうにはなにが大事なのか:特に近畿地方における帰化植物の分布の動態,現状と関連して. 雑草研究 57(2), 36-45.
植村修二・勝山輝男・清水矩宏・水田光雄・森田弘彦・廣田伸七・池原直樹 2015. 増補改訂日本帰化植物写真図鑑第2巻. 全国農村教育協会.