音によるコミュニケーションをおこなう動物はたくさんいますが、哺乳動物では多くが口から発する音声、すなわち声を用います。しかし、テンレックという哺乳動物は、ちょっと変わったところから音を出してコミュニケーションを取り合います。今回は、テンレックのお話です。
テンレックとは?
テンレックとは、アフリカトガリネズミ目テンレック科に属する動物の総称もしくは、テンレック属の唯一の種であるTenrec ecaudatusを指します。テンレック科は、8属31種が現存しています。すべての種が、マダガスカル島の固有種です。最も小さい種では、体長が4.5cm、体重が5グラムほどしかなく、最も大きな種では、体長25-39cm、体重が1キロほどあります。
テンレックの生態
ほとんどの種は、夜行性で、目はよく見えません。森林やサバンナに生息します。乾季である5月〜12月は、地中に潜って眠ります。すべての種が雑食ですが、主に無脊椎動物を食べます。
哺乳動物の中で最も多い乳首を持つ
テンレックは、一度に平均で20頭の幼獣を生み、最高で32頭の幼獣を生んだことが記録されています。また、乳首も29個以上あり、哺乳動物で最多です。
背中の毛で音を出す!?
テンレックの背中の毛は針状になっており、その針をこすり合わせて音を出します。それより、親や兄弟に自分の居場所に伝えたり、天敵の存在を知らせていると考えられています。また、背中の針で天敵から身を守ることもできると考えられます。
集団でせわしなく食べ物を探し回りますが、天敵の気配を感じると一斉に動きを止め、周囲に紛れて身を隠します。子供の毛には縞模様が入っており、天敵から目立ちにくくする役割があるものと考えられます。