ラクダはラクだ?

2021年9月22日 ALL生物

ボーッとした顔つきとゆったり歩く姿から、のんびり生きているように見えるラクダですが、過酷な砂漠で生き抜くために他の哺乳動物が持っていない驚きの体のつくりを持っています。今回は、そんなラクダについてのお話です。

ラクダとは?

ヒトコブラクダ

ヒトコブラクダ

鯨偶蹄目ラクダ科ラクダ属に属する動物の総称で、ヒトコブラクダと呼ばれている種が一種、フタコブラクダと呼ばれている種が二種います。紀元前3000年から2500年頃に家畜化されたと考えられています。現在、野生のものは1000頭ほどのフタコブラクダが中国とモンゴルの砂漠に生息しているのみです。ヒトコブラクダは野生下では絶滅しました。家畜のものは、アフリカ北部、東部、西アジア、南アジアで飼育されています。世界中にラクダは約1400万頭おり、そのうちの90%がヒトコブラクダ、残りの10%がフタコブラクダです。ラクダは、毛、乳、輸送用に飼育されています。

ラクダが砂漠で生きるために持つ体の特徴

コブに脂肪を貯めている

ラクダの一番の特徴であるコブの中には脂肪が詰まっています。この脂肪は食べ物が摂取できないときにエネルギー源になるだけでなく、断熱材にもなり、日射によって体温が上昇するのを防ぐ効果もあると考えられています。また体中の脂肪をコブに集めることで、背中以外の場所の脂肪による断熱の影響を最小限にし、熱を発散しやすくしていると考えられています。ちなみに、立った状態のコブは、そのラクダの栄養状態が良いことを示します。

楕円形の赤血球をもつ

血球が楕円形をしているため、血液が脱水によって濃縮されても血管を流れやすいと考えられています。他の多くの哺乳動物が体重の12 – 14%の水分が失われると生きられないのですが、ラクダは体重の30%の水分が失われても生きることができます。また、一般的な赤血球は血液中の水分が多くなると破裂してしまいますが、ラクダの赤血球は2倍に膨らんでも破裂しないため、一度に体重の4分の1の重さの水を飲むことができます。ラクダは、大量に血液中に水を蓄えることにより数日間水を飲まなくても、灼熱の砂漠で生き延びることができます。

体温が34℃〜40℃まで変化する

フタコブラクダ

フタコブラクダ

体温が40℃に達しても下げる必要がないため、汗の量を抑えることができ、水分の損失を小さくすることができます。フタコブラクダは、気温−29℃〜38℃の環境でも生きられます。

口の皮膚が硬い

ヒトコブラクダ

トゲだらけの砂漠の植物やひからびた植物も食べることができ、食べ物が少ない砂漠でも食べ物を得ることができます。

厚い毛皮と長い足をもつ

厚い毛皮は夜の低温から体温の低下を防ぎ、昼間の日射による体温の上昇を防ぎます。長い足は、地面から発せられる熱から体を守ります。

閉じることができる鼻孔と瞬膜をもつ

砂漠の砂が鼻や目に入るのを防ぐために鼻の穴を閉じることができたり、哺乳動物には珍しく目に透明の膜(瞬膜)をもっています。