センリョウは、マンリョウと並んで正月の飾りに利用される植物です。いずれも冬に赤い実をつける植物ですが、両者は全く異なった分類群に属する植物です。今回は、進化的には他の多くの植物とは異なる系統に属するセンリョウについてのお話です。
センリョウとは?
センリョウ Sarcandra glabra はセンリョウ目センリョウ科センリョウ属の常緑小低木です。南アジア、東南アジア、中国南部、台湾、韓国、日本などの温帯から熱帯域に分布します。日本では、本州の関東西南部以南の常緑広葉樹林に生育します。6月頃に花を咲かせ、11月中旬から1月にかけて実をつけます。
変わった花をつけるセンリョウ
センリョウの花には、花弁や萼がありません。子房の横に一つの雄しべがくっついているだけの構造であり、一見花が咲いているようには見えません。しかし、蜜腺をもっていることが報告されており、小型のハチ、ハエ、甲虫、カメムシ目の昆虫が花に訪れているのが観察されています。花弁や萼が無いという特徴は、原始的な形質を残したためだと考えられることがありますが、近年では、もともと持っていた花弁や萼を退化させたのではないかと推測されています。花弁は、送粉者に気づいてもらうための器官であるため、それがなくても昆虫を十分に呼ぶことができるのであれば、コストがかかる花弁を無くしてしまうことは植物にとって適応的であると考えられます。
原始的な植物
センリョウ科はセンリョウ目に属する唯一の科で、約75種が含まれています。センリョウ科の植物は、被子植物が出現した初期の頃の地層から化石が多く出現し、原始的な植物といわれているモクレン目と共通の特徴(精油細胞)を有していることから、原始的な植物であると考えられてきました。また、分子系統学においても、センリョウ目は、進化の初期の段階で分岐したとされています。
参考文献:
Tosaki, Y., Renner, S.S., and Takahashi, H. 2001. Pollination of Sarcandra glabra (Chloranthaceae) in natural populations in Japan. J. Plant Res. 114(4): 423–427. doi:10.1007/pl00014007.
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