![](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/03/TG_20220316_P3164703-scaled.jpg)
春先、ホバリングしながら器用に蜜を吸うモフモフした虫がいます。ビロウドツリアブです。彼らはどんな生活をしているのでしょう。
ビロウドツリアブとは?
![Bombylius_major](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/03/Bombylius_major_Yumihari_Mountains-1024x1024.jpeg)
ビロウドツリアブ Photo by Alpsdake, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
ビロウドツリアブ Bombylius major は、ハエ目ツリアブ科ツリアブ属 Bombylius の昆虫です。Bombyliusという属名は、マルハナバチ属 Bombus に似ていることから付けられました。
![コマルハナバチ](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/03/P5291693-1024x683.jpg)
コマルハナバチ Bombus ardens
ツリアブという和名は、空中でホバリングしている姿がどこかから吊り下げられているように見えることから付けられたと言われています。ヨーロッパ。アジア、北アメリカの温帯に生息し、日本では北海道から九州の平地から亜高山帯に分布し、都市の公園でも見られます。マルハナバチに似ている上、花の周りを飛び回っているためハナバチと間違われることもありますが、ハエ目昆虫ですので、メスであってもハチのように針を持ちません。
何を食べるの?
ビロウドツリアブも他の多くのハエと同様に、幼虫のときは成虫とは異なる餌を食べます。ビロウドツリアブの幼虫は、ヒメハナバチ類 Andrenidae の幼虫に寄生します。
![Andrenidae_-_Panurgus_sp.](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/03/Andrenidae_-_Panurgus_sp.-1024x769.jpeg)
ヒメハナバチ科の一種 Photo by Hectonichus, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
成虫は、花の蜜を吸います。まっすぐ前にのびた長い口吻は、花の蜜をホバリングしながら吸うのに役立ちます。
いつ見られるの?
ビロウドツリアブの成虫は3月〜5月に出現します。他の多くの昆虫が最も活動的になる時期よりも先に姿を現し、夏前には見られなくなります。
どうしてモフモフしているの?
ビロウドツリアブはハエ目ですが、ここまで密な毛に覆われているハエはあまり見かけません。モフモフした毛は、同じく早春に活動するマルハナバチや夜間に活動する蛾などと同様に、外気温が低いタイミングに活動できる温度まで体温を上昇させ、それを維持するのに役立つと考えられます。ビロウドツリアブは、他の訪花昆虫がまだ活動できない寒い時期に活動して花の蜜を独り占めするために毛深いのです。
どこで見られるの?
![オオイヌノフグリ](https://biome.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/03/d691f11837cbd32db7473e1069e6f6da-1024x682.jpg)
ビロウドツリアブが訪花することが知られているオオイヌノフグリ
早春に花を眺めていれば、しばしばホバリングしている姿を見られます。ホバリング中は、空中で静止しているように見え、移動は大変速いので、まるで瞬間移動したかのように見えます。モフモフの体に長い口吻を前に突き出したまま飛ぶ姿はとても愛らしいです。日が当たる葉の上で体を温めていることもあります。都市部でも生息している普通種であり、まだ他の昆虫があまり活動していない時期に活動する、1cmほどもある訪花昆虫ですので、その気になれば容易に見つけることができます。