メスが地味で、オスが派手な色や形をしている生物はたくさんいます。一方、その逆はほとんどありません。しかし、タマシギという鳥は、メスがオスよりも随分派手です。今回は、どうしてタマシギはメスの方が派手なのかについてのお話です。
どうしてメスよりオスの方が派手な生物が多いのか
ライオンのタテガミやクジャクの羽のように、オスの方が見た目が派手な生物は多いです。それは、メスがオスに選ばれるよりも、オスがメスに選ばれることの方が多いからです。というのは、オスの精子は小さく、コストが少ないため大量に作れます。一方、メスの卵は、精子に比べるとずっと大きくコストがかかるため、たくさんは作れません。その上に、種によっては子育てもメスだけが行います。そのため、メスは、我が子ができるだけ生存や繁殖に有利な遺伝子を持てるようにするべく、オスを選ぶことに慎重になります。一方、オスは、コストの小さい精子を大量に作るため、選り好みなく、とにかくできるだけ多くのメスと交尾しようとすることが多いです。
このことから、多くの種についてメスがオスを選ぶことが多く、オスはメスに選んでもらうために、いろいろなアピールポイントや、他のオスと戦うための武器を持ちます。
タマシギはメスが派手
しかし、チドリ目タマシギ科の鳥であるタマシギ Rostratula benghalensis は、メスの方が派手です。また、求愛ディスプレイを行うのもメスです。
どうしてメスの方が派手なのか
多くの子育てを行う生物は、オス、メスともに子育てを行うか、メスだけが子育てを行います。ところが、タマシギは、オスだけが子育てを行います。タマシギのメスは、たいてい4つの卵を産むとすぐに姿を消し、また別のオスと交尾を繰り返します。オスとメスがつがいでいる期間は、1週間ほどです。このため、タマシギのオスは、子供にかけるコストが他の一般的な鳥よりも大きいです。そのため、オスは配偶相手を慎重に選びます。これが、タマシギのメスが派手な見た目に進化した理由だと考えられます。
どうしてタマシギは、オスだけが子育てをするのでしょうか。次回に続きます。