2026年2月12日

ミヤマニガウリクエストのご報告

2025年はミヤマニガウリ受難の年でした!

クエストで皆さんに探してもらうということで、わたしたちのミヤマニガウリ調査にも気合が入っていたのですが、2025年は記録的猛暑と梅雨明け後の少雨のため、各地の個体群が壊滅的でした。長野県、新潟県、山形県とめぐりましたが、開花前の6月に生育を確認していた場所でも、8月に行ってみると探して探してようやく見つかるのは枯れたつるだけ・・・という状況が多くみられました。

ミヤマニガウリは、林縁でもちょっと湿った場所を好んで生育するので、乾燥にはとても弱いのでしょう。一年草なので、地下にも蓄えはまったくなく、いったん地上部が枯れてしまうと起死回生のチャンスはありません。いつもはミヤマニガウリに覆われるような場所でも一個体も見つけられない・・・という大変な年でした。

そんな状況の中、ミヤマニガウリを見つけて投稿してくださった方々、ありがとうございました!こんな大変な年にもかかわらず、南は京都から北は北海道まで、ミヤマニガウリの記録を16件投稿していただきました。もうミヤマニガウリは日本からいなくなってしまうのではないか?と不安になっていましたが、わずかながらも各地で花を咲かせていたことを知り、ほっとしました。少ないはずの雄の記録も5件含まれていました。やはり雄個体は分布の南で観察されており、気温や生育シーズンの長さが雄の比率と関係していることをうかがわせます。

さて、2025年まったく花を咲かせ種を残すことができなかった個体群は、これからどうなるのでしょうか?わたしたちは、これまでの断片的な知見から、ミヤマニガウリの種には多少なりとも休眠性があって、2025年まったく種子をつけることができなかったとしても、わずかに残る土の中の2024年、2023年の種が芽を出し、個体群が復活していくのではないかと考えています。しかし、すぐに元に戻るのか、というとそうではないかもしれません。

2026年の気候がミヤマニガウリの生育に適していたとしても、2025年壊滅してしまった個体群では、種子が少ないため花を咲かせる個体はそう多くないでしょう。すると、雄個体は花粉を作っても、近くに両性個体がいないために子供を残せないかもしれません。そうなると、個体群は復活しても、雄の遺伝子は個体群から消えてしまい、数年後、あるいは数十年後、たまたま送粉者が他の雄の個体群からオスの遺伝子の入った花粉を運んでくるまで、両性個体だけの個体群となる可能性があります。2025年のミヤマニガウリのデータは、ミヤマニガウリの性の、そんなダイナミックな一面を証言する貴重な記録となると考えています。

2026年も、ミヤマニガウリから目が離せません!

枯れてしまった、ミヤマニガウリのつる。
地図.投稿されたミヤマニガウリの分布。2025年以前の記録も含んでいます。また、近くで観察された地点を見やすく表示するため、実際の場所より少しずらしてあります。

寄稿者プロフィール

酒井章子(香港浸会大学 地理学科 准教授、総合地球環境学研究所 客員教授)

Biomeでの観察が蓄積されれば、どんな場所にミヤマニガウリの雄個体がよく見られるのか、全国規模の地図を作ることができるかもしれません。皆さんの発見情報をお待ちしています!

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